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癒しのエルフ  作者: 南蛇井


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scene3 説教 ― 翻訳された精霊の言葉

ラグナは、

言葉を重ねていった。


勢いはあるが、

荒れてはいない。

むしろ、整っている。


「精霊は、人の怠惰を憂いている」


断定から始まる。


「人は、本来、

流れの中で働き、

休み、

また動くものだ」


彼は、手を広げる。


「だが今、

多くの者がその循環を壊している」


原因が示される。


「疲労は、罰だ」


その言葉に、

ざわめきが走る。


だが、続く言葉が、

それを抑える。


「罰であると同時に、

正しさへ戻るための合図でもある」


分かりやすい。


苦しみは、

意味を持たされる。


「正しい生き方を選べば、

疲れは軽くなる」


努力と報酬。

因果は単純だ。


「精霊は、秩序を好む」


彼はそう言い切る。


「無秩序な欲、

行き過ぎた働き、

休みなき街」


それらが、

流れを乱している。


だから、

疲れが生まれる。


話は、

一つの線で繋がっていた。


怠惰――罰――正しさ――回復。


聞き手は、

迷わない。


精霊が何を感じているか、

その複雑さは語られない。


迷いも、

揺らぎも、

矛盾もない。


精霊は、

まるで一つの意志を持つ

裁定者のように描かれる。


それは、

人間にとって理解しやすい姿だった。


ラグナは、

精霊の声を語っている。


だが実際には、

精霊の広がりを削ぎ落とし、

人間の倫理に

きれいに翻訳していた。


それでも、

誰も疑わない。


分かる言葉は、

正しい言葉だと

信じられているからだ。

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