9 勘違い
「僕のことを見て褒めていただいたことは嬉しいのですが、あれでは話しにくいですね」
外から店内を見渡した。
「空気読めてなくてごめんなさい…」
安田は縮こまった。
「いや、いいですよ。話し出したのは僕のほうなので」
手を振って気にしない素振りを見せた。
「違う場所行きませんか?ドリンク、残ってしまいましたけど」
安田は苦笑いした。
「行きましょう」
俺は歩き出した。
(…っ!)
振り返ると、同じ制服の男達も店から出てきていた。
「後をつけるつもりですか?」
俺は男達に近づいた。
「え、いやぁそんなつもりじゃ」
彼らの目は泳いでいる。
「盗み聞きするのやめてください。個人情報なので」
男達は俯いた。
「…行こうぜ」
諦めたように俺達と逆方向へ歩いて行った。
「もう大丈夫だと思っていましたが、そうはいかないのですね」
安田の顔は悲しげだった。
「まあ、安田さん美人なのでどうしようもないですよ。美人は美人なりに大変なこと多いですよね」
「え?」
安田は首を傾げた。
「私が美人ですか…?」
「…ん?」
俺も首を傾げた。
「あの方達は私の家を狙っていると思ったのですが」
「え、そうなんですか!」
「え??」
俺はてっきり安田が美少女だから彼女を追いかける男達が現れたと思っていたが…
「わ、私にもわからないのですが、私を狙っているというのなら家のことだと思って」
「いや、学校で家のこと知ってるの俺だけだと思いますけど!?」
安田は自分が美人ということを自覚していないのだろうか。追いかけていた男達も家を狙っているとは思えなかったが…。
「家のことを気にする必要ないですよ。それより、自分が美人ってことを自覚してください」
「そんなに言われると恥ずかしいです…」
安田は顔を背けた。