12 気づくのが遅くなったね
「瑞穂、ありがとう」
寝る準備を済ませ、俺達はベッドに寝転がった。
「瑞穂と朝から晩まで過ごせて楽しかった」
「私も楽しかったです」
瑞穂は微笑んだ。
「俺の家はずっとメイドとかいるから家族の手料理もないし家事もすることないから新鮮だった」
「私の家も前はそうだったですよ。でも、私も大きくなったので誰かに頼らなくても生活できるように従業員に休暇を与えるようになりました」
「嫌じゃなかったのか?」
生まれた時から家に家族以外の人間がいることは当たり前。そして、その人達は俺達の身の回りのことをすることが仕事だ。何でも任せられるし何でもやってくれる。
それが当たり前だから急にいなくなってしまったら困る。最初は身が追いつかなくなるだろう。
「両親はしっかり家事をこなしていたので私もできるようになりたいと思いました。私も最初は料理も家事もできなかったですけど、帰ってきたメイドに教わってだんだん一人でもできるようになりました」
俺は唇を噛み締めた。
「瑞穂はすごいよ…すごく頑張ってる」
「でも、普通の人はこれが当たり前なんですよね。私達がいかに恵まれているかよくわかります」
瑞穂は苦笑いした。
「恵まれているからって偉そうにしないとこも瑞穂の良いところだよね」
「だって、偶然安田財閥の家に生まれただけですよ。私に権力なんてありません」
俺は笑ってしまった。
「そうだよな。生まれた家がとんでもなかっただけだよな」
俺は瑞穂の手を握った。
「瑞穂が安田財閥に生まれて、俺が三井財閥に生まれたからこうして出会えた。俺が三井財閥に生まれたのは瑞穂に出会うためだったのかも」
瑞穂は俺の理想の人だと思う。謙虚で優しくて努力家で。好みの話をすれば笑顔が可愛い。俺の理想にド直球な彼女は運命の相手だ。
「私もきっとそうだと思います。初めて会った日からずっと…運命だと思ってます」
そうだ。彼女は最初から言ってくれた。
「やっと、俺も運命だって思ったよ」




