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11 普段味わえないこと

「そろそろご飯作ります」

 ゆるゆると過ごしていたら、夕方になっていた。

「お風呂とご飯、どっちが先ですか?」

「そこに瑞穂という選択肢はないのかな?」

「今私がいるじゃないですか」

瑞穂は呆れ気味に答えた。

「いつも夕食が先だ」

「そうでしたよね。すぐ作ります」

瑞穂の後について俺もダイニングルームに向かった。

(楽しいな…普通に生きていたらこういう生活ができるんだ)

メイドではなく彼女の手料理を振る舞ってもらえて家事を協力しながらやって空いた時間に会話して。メイドがいたら何でもやってくれるからすごく楽だ。でも、好きな人と共に生活をすることは楽しいと思った。

(たった一日だけど、夫婦みたいなことができて良かったな)

普段味わえない楽しみを教えてくれた彼女にありがとうと言いたい。

「住菱くん、お待たせしました」

夕食はハンバーグだった。

「メイドの料理もいいけど、瑞穂の手料理もすごく美味しい」

「良かったです。人に食べさせたことはないのでちょっと不安でした」

「俺だけが知ってる味ってことか。それはそれでいいな」

もっとよく味わおうと思った。

「住菱くんは料理できますか?」

「俺にできると思う?」

俺は眉をひそめた。

「住菱くんが作った料理も食べてみたいです」

「…俺は料理できないよ」

笑顔で言われてしまったので胸が痛い。

「うちのメイドに教われば住菱くんも上手になれますよ!私の料理が美味しいと思ってくれたならメイドのおかげなので」

「瑞穂が教えてくれる訳じゃないんだ…」

ちょっと残念だった。

「私は教えられる自信がないですよ」

「瑞穂の言うことは絶対守るから!分量とか間違えずにやるから!」

なんとか説得しようとした。

「…そのうち、機会があればですよ」

「やった!」

俺は満面の笑みを浮かべた。

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