2 尊い優しさ
「嘘だろ!!」
夕食を食べて戻ってきたらスマホに不在着信の通知が出ていた。
(タイミングが悪いだろ…)
とにかく、急いで掛けてみた。
『三井さん?』
「瑞穂、出られなくて悪かった」
今度こそ繋がった。
『いえ。私も出られなくて申し訳ありませんでした』
「いいんだ。それよりさ、聞いてもらっていい?」
『何でしょうか?』
話そうと思うと少し緊張する。
「俺、課題がもう終わりそうなんだ。今日頑張って進めたんだ」
『もう終わっちゃうのですか!?早いですね!』
純粋に驚いてくれるあたり優しい。
「それで、褒めてほしいなと思って掛けてみた…」
自分で言っていて恥ずかしい。わざわざ電話してまで褒めろって欲深いと思う。
『夏休み始まったばかりなのにすごいです。頑張りましたね、三井さん!』
俺は心臓を押さえて悶えた。この純粋に褒めてくれる心優しい可愛い人が実在する尊さよ。この言葉を目の前で言ってもらいたかった。
「ありがとう…俺は死ぬ」
『ま、待ってくださいよ!どうしてそうなるのですか!?』
冗談も心配してくれるなんて本当に死んでしまうじゃないか。
「俺、今日ずっと一人でさ。一ヶ月以上瑞穂に会えないのは耐えられないよ」
『私も三井さんに会いたいです…』
「今からでも会いに行くのに」
俺は苦笑いした。
『今私の部屋に来たらうさぎがいますよ』
「うさぎ?」
俺は顔をしかめた。
『いつもは外にいるのですけど、今日は私も心細かったので部屋に連れて来ました』
「うさぎか…」
(うさぎ…バニーガール…)
すぐこんな発想になるのは正常な男子高校生の証だと言い訳しよう。




