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1 声が聞きたいだけ

 あっという間に時は流れ、夏休みに入ってしまった。夏休み前は試験があったり結果が返されたりして夏休みの自覚がなかった。

(月曜なのに瑞穂に会えない…!)

夏休みの話を特にしていなかったせいで一ヶ月以上もの間会えなくなる可能性が高い。

(今時、電話しか連絡手段がない女子高生も珍しすぎるだろ!)

 スマホをあまり使わない瑞穂はメッセージアプリもSNSもやっていない。やりとりするには電話かメールしかない。

(久しぶりの孤独。瑞穂に出会ったからにはもう瑞穂がいない生活には戻れない…)

朝起きてから着替えもせず、ベッドの上で足を抱えているだけ。もう昼前になっていた。

(去年の夏休み、俺はどうやって過ごしてたんだっけ…)

ベッドに横たわって思い出そうとした。


「住菱!!」

目を開けると飛鳥がいた。

「もうお昼だからご飯食べに行くよ!」

「…寝てたのか」

起き上がったがぼーっとしていた。

「その格好でいいんだね」

「着替える」

急いで着替えて姉を追いかけた。


 食事を終えて戻ったら課題を進めた。そうしていれば夕方まであっという間に時間が経った。

(もう終わりそうなくらい進んだって自慢したい)

スマホを手にとって電話を掛けようか悩んだ。

(なんか情けない気もするけど褒めてほしいな…)

そんな軽い気持ちで掛けてみることにした。

「…」

何回かコールしたのに出てくれない。

(これだから電話は!!)

とりあえず切った。

(メールはしない。俺は瑞穂の声で褒めてもらう)

強い意思でまた今度掛けようと決めた。

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