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10 変なこと言うな

 部屋に戻れば誰もいない、静かな空間。

「…」

ベッドに飛び込んだ。

(昨日は隣に瑞穂がいたんだよな…)

瑞穂が寝ていた場所をさすった。

(こうしたら本当にいたのかもわからなくなってくる)

でも、確かに残るシーツのシワや香りはその場にいたことを証明している。

「またいっしょに寝てほしいな…」

ふと、そんなことを呟いた。


「一緒に寝たって…!」

 週明け、瑞穂と話している弥生が驚いた顔をした。

「あ、三井さん!」

俺を見た弥生が手を振って呼んできた。

「一緒に寝たってほんと!?」

小声で言う弥生。

「…ああ」

渋々頷いた。

「何それお家デート!?」

「雨宿りさせてもらいました」

瑞穂が苦笑いしながら言う。

「あ、確かに雨強い時あったね」

「はい…ありがとうございます。三井さん」

瑞穂は俺のほうに振り返った。

「う、うん」

「なんかぎこちないな…」

弥生は俺達を見てにやりと笑った。

「まあ?一緒に寝た男女に何も起きない訳がないと思うけど…何があったか聞きたいな〜なんて」

頬杖をついて俺達を見上げた。

「言わないからな」

腰に手を当てて見下した。

「言えないようなことがあったんだね。うんうん」

弥生は何度も頷いた。すると、瑞穂が小さく笑い出した。

「三井さんは恥ずかしくて言えないですよね」

「は?」

俺は眉をひそめた。

「甘えんぼうなことは言わないでおきますよ」

耳打ちされて顔が熱くなった。

「まじで言うなよ…!」

俺も小声で言った。

「楽しそうで何より」

俺達を見てにっこりと笑う弥生。

「もうこの話やめよう!」

俺は額に手を当てながら言った。

「照れてる…かわいい」

「瑞穂!?」

俺は思わず目を見開いた。

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