9 帰りたい?
目を開ければ、
「!?」
すぐ傍に瑞穂の顔があった。
(隣で寝てたんだった…)
隣で彼女が寝ているこの状況。心臓に悪い。
(でも、今日だけなのか)
いろいろあったとはいえ、いっしょに過ごせた時間は楽しくてもっと味わいたかった。
「っ…んんっ!?」
瑞穂も目を開けたと思えば驚いた顔をした。
「おはよう」
「おはようございます…」
瑞穂が離れていったので手を掴んで引き戻す。
「帰ってほしくないな」
「それをわがままだって言ったのは誰ですか?」
「あー…」
パーティーの帰りを思い出した。
「帰りたい?」
「…そんな聞き方はズルいです!」
瑞穂は俺の手を振り払って立ち上がった。
「そんなこと言われて帰りたいなんて思うわけないじゃないですか…」
「ん?」
声が小さかったのと早口でよく聞こえなかった。
「また泊まりに来てもいいですか?」
「泊まるどころか結婚したら住んでもらうことになるけどな」
瑞穂は顔を赤くした。
「では、実家での時間をもっと大切にしたほうがいいですね…もう泊まりに来ません」
「それはダメ!」
俺は瑞穂の腕を掴んだ。
「本当に、お世話になりました」
家族全員で玄関で瑞穂を送った。
「また来てくれよ。絶対」
「おおっ!これは何かあったね」
飛鳥を肘でつついた。
「三井さんのご両親がよろしければ」
両親は頷きあって、
「今度は瑞穂さん専用の部屋を用意していつでもお待ちしておりますよ」
瑞穂はぱあっと笑顔になった。
「では、これからもよろしくお願いします」
礼をして扉へ向かう。
「ありがとうございました!」
「バイバ〜イ」
「またな」
手を降って去っていく瑞穂を扉が閉じられるまで見続けた。




