7 眠れない夜
落ち着いてから俺は漫画を片づけた。その間、瑞穂はベッドに寝転がっていた。
(眠そう…)
戻ってきて瑞穂の顔を覗いたらうとうとしていた。
ゆっくりと静かに腰を下ろしたら、瞬きをして俺を見上げた。
「ごめん、起こした?」
「いえ…」
瑞穂は目をこすった。
「三井さんと寝れるの嬉しいです」
その言葉に心臓が跳ね上がった。
「瑞穂は無知だから発言が危ないな」
ため息をついて隣に寝転がった。
「私、何か言いましたか?」
俺は瑞穂のほうを向いた。
「女と男が同じベッドに寝たら何が起こるかわかってないだろ」
「寝るだけじゃないですか。私の両親はそうですよ」
「そ、そうだろうな」
兄弟がいない瑞穂はそう思うだろう。いや、俺の両親だって寝るだけだが。
「でも、それだけじゃないってことを言いたいんだ」
俺は瑞穂に近づいてそっとキスをした。
「こういうことされちゃうぞ?おやすみ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
電気を消して瑞穂に背を向けて寝た。
「なんで急に…」
瑞穂が俺の肩を掴む。
「近くにいたから」
俺は振り返ろうとした。
「いたっ」
頭が瑞穂にぶつかった。
「ごめん。見えなくて」
とは言ってもやはり真っ暗で何も見えないが。
「何も、見えないですね」
「…そうだな」
瑞穂の手が肩から離れていった。
「ねぇ、いる?」
なぜか不安になってしまった。そんな俺を笑う瑞穂。
「いますよ。すぐ隣に」
また肩に手が触れた。そのまま腕をなぞるように移動する。
「あった」
俺の手を握って引き上げた。
「これで大丈夫です」
近くにいるのに見えないというこの状況。落ち着けるわけがないけれど、瑞穂のピュアな思いを踏みにじることもできない。
「早く寝よう」
「冷たくないですか?」
不貞腐れたように言うので手を引っ張って抱きしめた。




