6 大好きの上
「そういえば、世界の彼方読む?」
「あるのですか?」
俺は立ち上がり、クローゼットを開けた。
「うん。全巻あるから読んでいいよ」
ベッドの隣のサイドテーブルに漫画を置いた。
俺は椅子に座ってスマホを見た。
「わ!もうこんな時間!」
突然、瑞穂が声を上げた。時刻は22時だった。
「瑞穂はいつも何時に寝ているんだ?」
「10時半くらいに寝てますよ」
(俺より早かった…)
大体0時くらいに寝ている。
「ちょっと感動しちゃいました」
俺は瑞穂の隣に座り、瑞穂は漫画を開いた。
「愛してるっていいですね…」
旅の途中で挫けそうになったセカイにカナタが送った言葉。一ページ全体を使って描かれたそのシーンは感動しないはずがない。
「見ただけで感動…この二人は永遠に幸せであってほしい」
俺も深く頷いた。
「私達もこの二人みたいに絆で結ばれた幸せな人生を歩みたいです」
俺は心臓を押さえた。
(私達もだって!?さらっと人生像語ってきたぞこの子!)
「どうしましたか!?」
瑞穂は慌てた様子で俺の背中に手を当てた。
「大丈夫…うん。俺達も幸せになろうね」
俺は起き上がり、瑞穂の手を掴んだ。
「もちろんです」
瑞穂は笑顔で答えた。
(もしかして、今言ったらいい感じになる?)
俺は深呼吸した。
「大好きだ。瑞穂」
顔が熱い。やっと言うことができた喜びと気恥ずかしさで体が震える。
「愛してます。三井さん」
瑞穂は俺を抱きしめた。
(一歩上の答えをされた…)
俺も抱き返してはっきりと言った。
「俺も、愛してる」
情けないけれど、恥ずかしさで瑞穂の体に寄りかかった。肩に預けた俺の頭を優しく撫でてくれた。
「三井さんは甘えんぼうですね」
「そんなことない…と言いたいのに」
悔しいけれど、今は瑞穂を頼りたくなった。




