2 落ち着け俺
「じゃあ瑞穂ちゃん、荷物置いたらお風呂入りな。服はあるから選んでもらってオッケーだよ。その後ご飯だから住菱といっしょに来てね」
「ありがとうございます。お世話になります」
珍しく気が利くことをしてくれる姉に俺も感謝だ。
「ここ俺の部屋だから」
俺は扉を指差した。
「…」
瑞穂は胸に手を当てて緊張しているようだった。
「やっぱ空いてる部屋にするか?」
「い、いえ。大丈夫です」
瑞穂は慌てて答える。
「どうぞ」
「お邪魔します…」
緊張した面持ちで瑞穂は中に入った。
「!?」
扉を閉めた音に瑞穂は震え上がった。
「怖がらなくても何もしないよ」
俺は苦笑いした。
「怖いわけじゃないのです。でも、緊張するというか…」
瑞穂も照れたように笑った。
「荷物どこでもいいから置いて風呂入りな…」
「はい」
俺は目を逸らしながら言った。
(めちゃくちゃ緊張するぞこれ!!)
瑞穂が部屋から出て行ったところでベッドに突っ伏せた。
(いつだか二人きりになりたいと願ったこともあったが、実際何もできねぇ!!)
基本一人で過ごす部屋に誰かがいるという違和感。その相手が彼女であり、密室状態の部屋で一晩過ごさなければならない。
(落ち着け俺。大好きな瑞穂と二人きりで過ごせる絶好の機会なんだ。これを逃すことはできない)
俺は深呼吸して必死で心臓を落ち着かせた。
トントントン。
突然のノック。おそらく瑞穂だろう。
勢いよく扉を開けた。
「うわっ!」
しかし、そこにいたのはメイドだった。
「すみません!開けていただいたのに驚いてしまいました!」
「い、いや…」
いつも返事だけして開けるまでしないので驚かせてしまった。
「瑞穂様の明日のお着替えをお持ちいたしました」
「ありがとうございます」
瑞穂が着るものだと思うと妙に緊張して慎重に受け取った。




