5 笑顔
放課後、漫画喫茶に瑞穂と来た。
「これだな。世界の彼方」
本棚には全巻並んでいた。
「三井さんの好きな漫画楽しみです」
瑞穂は笑顔で取った。
「俺も読もうかな」
ライちゃんが表紙になっているお気に入りの巻を取った。
「あ、ライちゃん!」
「そうそう。これ可愛いよな」
まじで癒やされる最高の表紙。
俺達は席に座って静かに読み始めた。
(眠くなってくるな…)
読み始めて一時間ほど経った。瑞穂は夢中で読んでいる。
(ハマってくれて嬉しいな)
俺は漫画を閉じて瑞穂の姿を見つめた。このまま寝てしまいたい。
(美少女を見ながら眠れるなんて最高だ…)
瑞穂は漫画に夢中だから俺が寝ていても気づかないだろう。それに、気がついたら起こしてもらえるというおまけつきだ。
「三井さん、そろそろ帰りますよ」
肩を揺さぶられた。
「起こしてくれてありがとう…」
ほら。目覚めれば目の前に美少女。本当に素晴らしい。
「どこまで読めた?」
駅に向かう間に聞いてみた。
「半分以上読めました。ライちゃん、可愛いですね」
「…!だろ!」
笑顔で言われて嬉しかった。
「瑞穂の笑顔もライちゃんと似てる」
「そうですか?」
瑞穂は可笑しそうに笑った。
「ほらそれ。瑞穂が笑った顔見た時、ライちゃんだって思ったんだよね」
無邪気に満面の笑みを浮かべる姿は子どものような純粋さがある。
「ライちゃんのほうが可愛いですよ」
「そんなことないって。俺は瑞穂の笑顔のほうが好きだ」
「…!」
瑞穂は立ち止まった。
「どうした?」
「ちょっと、びっくりしただけです」
俺は首を傾げた。
「何に?」
「…突然、私の笑顔が好きだなんて言うから」
瑞穂は顔を赤くた。
俺も口元を押さえた。
(自然と、口からこぼれてた…)
なぜか自分でも驚いた。
「うん…。俺、瑞穂の笑顔が好き」
しっかりと、瑞穂を見つめて言った。




