4 気にしすぎ
「いつの間にか住菱がモテモテになってたとは」
帰りの電車で飛鳥に言われた。
「モテてない。瑞穂が居れば充分だし」
「絶対モテてるよ~住菱イケメンだから」
飛鳥は俺の顔を覗き込んだ。
「やめろ。そんな冗談つまらない」
「釣れないなー」
飛鳥はため息をついた。
(浮気か…)
夜、ベッドで世界の彼方を読んでいた。
(俺がライちゃんの笑顔を見て可愛いと思ったり、好きだって思うことも浮気なのか…?)
きっと、硝樺は浮気と言うだろうが、瑞穂はどうなのだろう。
もやもやして漫画を閉じた。早く寝よう。
「三井さん放課後ぶり~!」
朝から弥生のテンションが高かった。
「愛菜さんと昨日会っていたのですね」
「あ、ああ」
怒っていないか不安だった。
「私も二人と会いたかったです…」
瑞穂は唇を尖らせた。
「偶然だったからさ~。瑞穂ちゃんも漫画読んでみる?次巻の発売日にみんなで買いに行けるよ!」
「読みます!」
瑞穂は両手を握り締めた。
(怒るどころか読もうとしてくれるなんて…)
瑞穂が優しすぎて涙が出そうだった。
「三井さんが好きなキャラはライちゃんっていう子でね」
「それ言うのかよ!」
昼休み。今日も今日とて三人で弁当を食べている。
「だって、瑞穂ちゃんも読むって言ってくれてるし」
弥生はスマホを取り出した。
「ほらこの子!髪型とか笑顔が瑞穂ちゃんに似てるよね!」
「私に似てる…?」
瑞穂はスマホを覗き込んだ。
「可愛い女の子ですね!」
「でしょー!」
俺は冷や汗をかいてきた。
(浮気だと思っているのか…!?)
「三井さんどうかしましたか?」
「え!」
瑞穂が俺の顔を見た。
「この教室暑いですか?」
「いや、暑くない」
俺は目を逸らした。
(気にしてないならいいんだ…)
そう割り切ることにした。




