8 瑞穂の本心
「お前、変なこと瑞穂に教えるな…!」
再びやってきた休み時間に弥生に小声で文句を言いつけた。
「何のことぉ?私は何も言ってないけど?」
そう言いながらも顔がにやついている。
「心当たりある顔をしてるんだよ!」
「心当たりなんて何も〜」
にやにや笑いながら腕を組むので眉をひそめて不満をあらわにした。
「勘違いさせてごめんね」
後ろから肩を叩かれた。
「あのことは…本当に私の独り言だから…!」
顔を赤くして目を泳がせる瑞穂。
「いやいや、そんなはずないでしょ」
笑って手をひらひら振った。
「本当だよ」
小さく言われた言葉を聞いて驚きと焦りを感じた。
「でも独り言だから!住菱くんが決めてくれていいからね!」
慌てた様子で続ける瑞穂。
「それ以前に、瑞穂が本心で言ってたことに驚きなんですが…」
弥生を見れば、ほら言ったでしょと自慢気な顔をしている。
「私はね、住菱くんに恥ずかしいこと言っちゃったって言うからよしよししてあげただけだよ」
「疑って悪かったな」
負けを認めざるを得なかった。
「あのことって何のことか知らないけど、何となくえっちなことではないでしょうかねぇ?」
「はぅ…!」
瑞穂が手で顔を覆い隠してしまった。
「あー弥生のせいだ。俺何もしてなーい」
「瑞穂ちゃんごめーん!話なら聞いてあげるからさ〜」
弥生は笑顔で手招きした。
「話なんて何も…」
瑞穂は弥生から逃げるように俺の後ろへ隠れた。
「瑞穂をいじめるな」
「いじめてないしー!」
喚く弥生を落ち着かせるには少し時間が掛かった。