12 結局寂しい
「ただいまー!!」
突然、威勢のいい声とともに扉が開けられて身体が跳ね上がった。
「あれ、いい感じだった?」
飛鳥が帰って来た。
「いい感じだから一生帰って来なくてもよかったのに」
「寂しいから瑞穂ちゃん呼んでるくせに強がるなぁ~」
笑いながら俺達のもとへ近づいてきた。
「飛鳥さんも寂しいから私を呼んでいると思いますか?」
なぜか瑞穂が目を輝かせながら聞いた。
「頑張って言い訳してるけど、結局寂しいから彼女を家に呼んでいるとしか思えないよね~。ま、あんまそういうこと本人の前で言うと怒るからこれくらいにしとくけど」
「すでに怒ってますけど?」
笑みを作りながらも声のトーンで怒りを表す。
「きゃーこわーい。邪魔みたいだから出て行くね~」
ひらひら手を振りながら部屋を出て行った。
「じゃあ、飛鳥さん帰って来たし私も帰る?」
「帰っちゃうの…?」
思ったより早くて寂しさを感じる。
「私と学校行きたい?」
「行きたい!」
「ふふっ。可愛いから今日も泊めてもらうね」
瑞穂はくすくす笑った。
「毎日居てくれいいんだよ」
「住むのは結婚してからって言ってるでしょ」
「住むではなく毎日泊まるっていう…」
「毎日泊まると住むはほぼ同じでしょ」
住むことに関しては厳しいので簡単には騙せない。
「絶対結婚して一緒に住むって決まってるんだからいいでしょ」
「あと二年は長いよぉ…」
瑞穂は困ったように笑った。