10 ぴょんぴょん巻き髪
「ん?」
瑞穂はきょとんとした顔で首を傾げる。
「何…してるの?」
「楽しい」
瑞穂の巻かれた髪をつついて遊んでいるのだ。
「楽しいならいいけど…」
実は、動く度に揺れるこの髪に視線が吸い寄せられていた。ぴょんぴょん跳ねるように動いて可愛い。
「住菱くん、硝樺さんの髪も好きそう」
「硝樺は別に好きじゃない」
「あれ?」
硝樺も巻き髪ツインテールだ。でも、硝樺の髪に視線が行くことなんてなかった。
これはギャップ萌えというやつなのかもしれない。いつもと違う髪型だから瑞穂の髪はつい目を奪われるのだろう。
「瑞穂のツインテールも可愛かったな…あの時も巻いてふわふわになってたよね」
「やっぱり好きなんじゃ?」
「硝樺はふわふわって感じしないし。いつもと違うからつい見ちゃうんだよ。あと、好きな人だから」
硝樺が大きな巻きでビシッと決まっていると言うなら、瑞穂はふわふわで緩い巻きと言える。なんか、二人の性格が髪に出ている気がするな…。
「ふわふわが好き?」
「好きかも。可愛いもん」
「住菱くん、本当に可愛いものが好きだね」
瑞穂はくすくすと笑った。
「目の前に可愛いの究極体がいるくらいなんだから好きに決まってるでしょ」
「じゃあ、住菱くんは可愛いとかっこいいの究極体だね」
「俺に可愛いは必要?」
「必要だよ。可愛いから!」
にっこりと笑われた。
「見た目からは想像つかない可愛さがいっぱいあるよね〜。私の感想だから住菱くんはそう思ってないだろうけど」
頬に手を当ててにんまり笑ってみせる瑞穂。
「どんなところが可愛いと思うの?」
ここまで言われたら気になるものだ。