7 ちょっと我慢
「でも…多いって思ってたんだね…」
瑞穂は俯いて悲しげな顔をした。
「嫌ではないからいいんだけどさ!あんまりされると特別感が薄れてくるというか…」
説明するのが難しい。多いから俺はどうしてほしいのか。減らしてくれることになってもそれはそれで悲しくもある。
(俺の我儘か…)
口に出さないほうが良かったかもしれない。お互い傷つくことになってしまった。
「キスじゃなくても愛情表現はできるし、別のことするようにする」
「たまにならいいんだ。というか、好きな時にしてくれればいいけどさ…」
「好きな時にしてたら何も変わらないじゃん」
瑞穂は眉をひそめた。
「た、確かに」
「要するに、もうちょっと我慢してってことでしょ。気をつける」
「よろしくお願いします…」
不満そうにする瑞穂に苦笑いしながらお願いした。
「…」
瑞穂は口元に手を当てて目を細めた。
「今度は瑞穂が黙り込んでるけど、どうしたの」
「…私、嫌われてない?」
俺は目を見開いた。
「そんなまさか!!ずっと変わらず大好きだよ!勘違いさせるようなこと言って悪かった!」
瑞穂の方を向いて必死に言った。
「そうだよね。わかってるけど、ちょっと不安になっちゃった…」
目を合わせずに苦笑いする瑞穂に胸が苦しくなった。
「でも、少し考えたらやっぱり嫌われてないってわかった。私の髪の毛巻いてくれて、喜んでいたのに嫌われているはずないよね」
「そうだよ…」
ほっと安堵のため息をついた。
「私、愛されてるってずっと信じる。だから、ずっと愛していてほしい」
そう言って、俺を抱きしめる瑞穂。
「当たり前じゃん…愛してる」
少し力を込めて抱き返した。