4 可愛いは正義
「住菱くんはどっちがいい?」
苦笑いしながら聞いてみました。
「瑞穂は?」
「私は、どっちでもいいけど?」
「うーん…」
住菱くんは腕を組んで考えました。
「せっかくだからサイドテールで」
「うん!」
笑顔で頷きました。
「もうちょい待って。すぐ終わるから」
「はーい」
再びアイロンで髪をセットし始めた住菱くんを見て、私もブラシを仕舞いました。
(今日も瑞穂が可愛い~)
部屋に戻る間、瑞穂と数歩距離を空けて歩いた。
「あの、なんでそんなに離れてるの?」
ぎこちなさそうに振り返ってきた。
「その髪型見ていたくって…」
申し訳なくていつものように隣に立った。
「そっか、隣だと見えないよね」
「そうだけど…まあ、俺のことは気にせずに」
苦笑いしながら手を振った。
「ねぇ、住菱くんの好きな髪型って何なの?」
「ハーフツイン」
即答してしまった。
「え、そうなんだ」
「う、うん…」
(ライちゃんの影響が…!)
自然とハーフツインが好きになってしまった。だから、瑞穂がハーフツインをしててすごく嬉しくなったし、好きになった要素でもあるのだが。
「でも、サイドテールでも喜んでくれるんだね」
「可愛いから」
また即答。
「可愛かったら何でも喜んでくれるの?」
「そりゃあもちろん。可愛いは正義だから」
「ふーん…」
瑞穂は目を逸らして照れた様子を見せた。
(全く、可愛いんだから)
口元がにやけそうになるのを堪えて部屋の扉を開けた。瑞穂も隣の部屋の扉に手を掛けて中に入っていった。
(着替えは未だに別々の部屋だけど)
まあ、着替えくらいいいだろう。瑞穂の部屋があるのに全く使わないのももったいないから。