6 寝坊助な二人
寝付くまでにはすごく時間が掛かった。心臓が落ち着くまで寝ることなんてできなかったし、気づいたら眠りに落ちていて、目が覚めてもすぐには状況を理解できなかった。
(瑞穂は寝てるみたい)
恥ずかしそうにしていた顔がいつもの可愛い寝顔になっている。
(さて、今は何時だろう)
起き上がってスマホを確認してみたら、
(十九時十三分。うん…)
「やばっ!?」
二時間くらい寝ていたことになる。いや、実際には寝付くのに時間が掛かったのでそれ以下だと思うが。
(って、そんなことはどうでもいいんだよ!!瑞穂も起こさないと夕食が…!)
慌てて瑞穂の肩を揺らした。
「瑞穂っ!起きろ!」
「んっ…んんー…」
瑞穂は眉をひそめた。
「おーきーろー!すぐ夕食になるよ!」
「ううっ」
少しだけ目を開けた。
「起きてくれないと困るよー」
珍しく寝起きが悪い瑞穂の肩を揺さぶり続ける。
「住菱くん…」
俺の腕を掴んでゆっくりと起き上がった。
「…っ!」
寝ぼけたまま俺に抱きついてきた。
「あの…まだ寝てるの?」
俺は苦笑いしながら聞いた。
「住菱くん…」
俺の頬に数回頬ずりをした。
(いや、可愛いけど!)
今は瑞穂に甘えられている場合ではないのだ。とはいえ、可愛さにはあらがえ…
「だめだから!もうご飯の時間なんだよ瑞穂!」
必死に怠ける自分の心を自制して、瑞穂を起こすことに専念する。
「っは!」
途端に瑞穂は目を見開いた。
「い、今何時なの?」
「もう十九時過ぎてる。早く食べに行こう」
「ごめんね!私が寝過ぎたせいで…」
慌てた様子で俺から離れた。
「大丈夫。行こうか」
「うん!」
瑞穂は片手で髪を整えながら俺の手を握ってベッドから降りた。
(寝たから今度こそ大丈夫そうだな)
いつもと変わらない様子を見せる瑞穂に安堵した。