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4 おひめさま

「冷たっ!」

 瑞穂の部屋に来て、一目散に瑞穂が指輪に触れると、驚いた声を上げた。

「寒いから、金属だと余計冷たくなるよね」

俺も思わず苦笑いした。

「っ!そうだ!」

瑞穂が閃いたように言って、俺を笑顔で見てきた。

「手で握って温めて!」

瑞穂は楽しそうに俺の手のひらに指輪を置いた。

「いいけど?」

なぜ俺にやらせるのか分からず、首を傾げながらも指輪を握った。

「温まったら私の指に着けてほしいの〜」

にこにこ笑って言う瑞穂に、なるほどと頷いた。

(わざわざ俺に温めさせるなんて、可愛いこと考えるなぁ)

微笑まずにはいられなかった。

「そろそろ良いんじゃない?」

しばらく握ったので、指輪はぬるくなったはずだ。

「じゃあ…」

差し出された左手を取って跪いた。

「えっ、あ、そこまでさせるつもりは…!」

慌てたように一歩後退った瑞穂の顔を見て微笑んだ。

「おひめさま」

「っ!」

顔を赤くしたのを見てから、指輪を薬指にはめた。それから、手の甲にキスを一つ。

「あ、ああ…!!」

顔を上げれば、瑞穂は真っ赤になって動揺していた。

「急に、そんな…えっ!」

そんな姿を見たら、抱きしめるしかなかった。

「はぁぁ…」

ぎゅーっと強く抱き返してきた。

「大丈夫?」

しばらく抱きしめていると、瑞穂のほうから力を抜いてきたので俺も離れた。

「大丈夫な訳がないでしょ…」

瑞穂はそっぽ向いた。

「い、嫌だった?」

今更不安になってきた。ちょっと怒っているようにも見えるので焦りが勝ってきた。

「嫌じゃない。嫌じゃないよ…」

瑞穂はぎゅっと目を閉じて胸を抑えた。

「瑞穂?本当に大丈夫?」

俯く瑞穂の顔を覗き込もうとした。

「今、住菱くんの顔を見たら…心臓壊れそうになるからだめ…」

ふらふらとベッドのほうに向かって床に膝をつくと、ベッドに顔を埋めた。

(ちょっと…いや、かなりやり過ぎてしまったかな?)

頭をかいて反省し、瑞穂は放っておいてあげることにした。

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