4 本気で付き合ってあげて
「飛鳥、珍しく本気なんだと思う。お前は幼馴染で、三菱財閥の跡継ぎだから飛鳥も本気で付き合おうと思ってるはずだ。だから、お前も飛鳥と本気で付き合ってあげてほしい」
俺は國元を見つめて、真剣に話した。
「弟が言うなら間違いないな」
國元は微笑んだ。
「ここまで言ってあれだけど、飛鳥をお前の家に泊めてほしい」
「なんでだ?」
「隣から声が聞こえてくるのは嫌なんだ。飛鳥をお前の家に泊めてくれ」
「来てくれると思うか?」
俺の顔を覗き込んできた國元にため息をついてから答えた。
「國元に言われたら行くだろ。気にせずなんでも言えよ…。彼氏なんだから」
「すしに言われると違うなー。よし、誘ってみるか!」
國元は頷くと、ポケットからスマホを取り出した。
「てめぇ、持って来てるのかよ」
「当たり前だろ」
「移動授業にスマホ持ってくの禁止だぞ?」
呆れながらもスマホをいじる國元を放っておいた。
「飛鳥にメッセージ送ったー」
にっと笑いながらメッセージアプリの画面を見せてきた。
「はいはい。飛鳥泊まらせる時は教えろよ?瑞穂呼んで俺の家に泊まらせるから」
「なんだ?ねーちゃん居なくなると寂しいのか?」
「違う」
にやにや笑われたので、睨みつけながら否定した。
「完全に二人きりになれるチャンスだから利用させてもらうだけだ。結婚後の生活を先行体験する」
「お前は好きな時に彼女と泊まれて羨ましいな。一番恵まれてるんだからな」
國元が呆れ気味にため息をついた。
「瑞穂は運命の人だから。そう確信してる」
「俺と飛鳥は運命じゃないんか?」
國元に言われてふと思い出した。