3 躊躇う國元
「それで、本題なんだが…」
國元が静かになった。
「俺も飛鳥と家に泊まりたいんだ!」
「うん。泊まれば?」
拳を握りしめて言う國元に軽く返した。
「簡単に言いやがって!!それができないからどうすればいいって聞いてんだよ!!」
「飛鳥に言えばいいだろ。なんで俺に言うんだ」
肩を掴んで前後に揺らされ、気持ち悪くなった。
「言えない!」
「だからなんで」
大声ではっきりと言う國元に苦笑いした。
「そもそも、俺から急に話題を振っていいのかわからん」
「お前の彼女なんだろ?なんでも話せばいいじゃん。泊まりたいなんて言ったら喜ぶと思うぞ?」
「本当か弟!?」
國元は目を輝かせた。
「むしろ、なんでお前が言いたいこと言えなくなっているんだよ」
國元はなんでもはっきりと言える奴だ。飛鳥という幼馴染であり、恋人に向かって躊躇うことはないはずだ。
「お前と違って学校も年齢も違うんだぜ?すしは瑞穂さんと同じクラスで毎日会えるけど、俺と飛鳥はそんなことできないんだ。郁助もだけど」
「要するに、毎日会ってないから距離が縮まらないのか?」
「そう!」
勢いよく人差し指を俺に向けた。
「まあ、確かに。毎日会ってなかったら距離は縮まらないかもな」
電話やメッセージのやり取りと、直接会話することは違うと思う。距離を縮めるなら直接会って話したほうが効果的だろう。
「連絡と時々デートするくらいで、いきなり泊まりたいなんて言ったらどう思われるかと思ってな…」
「じゃあ、なんで前泊まりに来たんだよ」
「あれは飛鳥が言ってくれたから。ハロウィンも飛鳥が呼んでくれた」
「つまり、飛鳥はお前を求めているんじゃないか?」
俺は國元のほうを見た。