2 なぜ泊まってくれるのか
「國元じゃん」
体育の授業で國元達、二年生の姿があった。
「すし!ちょうどいいところに!」
俺に気がついた國元が駆け寄ってきた。
「サボろうぜ」
「このバカが」
ため息をついたが、手首を掴まれて体育館の壁際に連れて行かされた。
「どうして瑞穂さんと上手くいっているんだ?」
「何、飛鳥と喧嘩でもしたのか?」
座ってにやりと笑いながら國元を見た。
「喧嘩はしてねーよ。今日も瑞穂さんと家出て来たから、なんでそんなに泊まってもらえてるんだと思って」
「瑞穂がOKしてくれるから」
「だから、なんでOKしてくれるんだって聞いてるんだよ」
國元に呆れられた。
「金曜は友達が泊まりたいって言うから泊まって…」
「友達?」
眉をひそめて不思議そうに聞いてきた。
「俺と瑞穂の大ファンな友達がいるんだよ。そいつが最初、三人で泊まろうって言うから泊まらせた」
「は…?」
訳が分からないという顔をされた。
「まあ、そんなのはどうでも良くて…。それがきっかけで土日も瑞穂が泊まって行った感じ。友達は一泊だけして帰ったけど」
「友達って男か?」
「女だけど?」
「は!?」
目を見開いて大げさに反応された。
「彼女がいるのに女を家に泊めたのか?」
「彼女も一緒だから泊めたんだけど。瑞穂も乗り気だったし、俺も友達に何もしてないから」
「怪しいぜ、すし…」
顎に手を当てて俺を睨んだ。
「お前とは違って女遊びしないから」
「その顔で女遊びしないなんて言われてもなぁ?女を男の家に泊めて、何も起きないほうがよっぽどおかしい」
俺は呆れて顔を背け、ため息をついた。
「黙れ、このバカ」
「おいおい、白状しろよ〜。ホントはその女友達と何したんだ?」
「何もしていない。そんなに怪しむなら瑞穂に聞けば?」
「わざわざそこまでしないけどさぁ」
大声で笑い始めたので「うるさい」とだけ伝えた。