13 三人でごろごろ
だらだら話していたら、あっという間に時間も過ぎた。
「ベッドまでいい匂いするなんて、ほんとに男子?」
寝転がった弥生がにやにや笑ってきた。
「そっち側はよく瑞穂が寝てるから実質瑞穂の匂いなんじゃね?」
「なるほど、納得」
「納得するんかよ」
瑞穂も苦笑いした。
「そんなに私の匂いするかな?」
「何嗅ごうとしてるんだ」
弥生が瑞穂の腕の辺りに花を近づけようとしたので、自分のほうに引き寄せた。
「確かめようと思ったのに!」
「なかなかに気持ち悪いぞ、お前」
「ちぇー」
俺を睨みつけてきた。
「どうぞお二人はそのまま抱き合って寝てくださいな」
「ああ、もちろん。瑞穂は俺のものだからな」
瑞穂の背中を抑えたまま寝転がった。
「近くない?」
「だって…真菜さんがいるから」
「私は邪魔だって?二人の距離を縮めてあげてるのに?」
「何も言ってねぇよ…」
すると、瑞穂がくすくすと笑い始めた。
「住菱くんとの距離が近くなって私は嬉しいけどな」
「…!」
俺は目を見開いた。
「ああー可愛い!ほんと可愛いな!」
瑞穂の肩に顔を埋めて額をぐりぐりと押し付けた。
「楽しそうで羨ましいねー」
弥生は呆れ気味に棒読みで言った。
目が覚めると、なぜか頭を撫でられていた。
「おはよう」
「…おはよう」
手を離して俺から離れようとした瑞穂の手首を掴んだ。
「待って、もう少し…」
「…いいよ」
瑞穂は微笑んでまた頭を撫でてくれた。
「起きた瞬間から瑞穂ちゃんに甘えるんだ」
振り返ると、弥生が俺の顔を覗いていた。
「うるさい」
瑞穂に向き直り、もう一度目を閉じた。
「可愛いでしょ」
「まあ、子どもっぽいなーとは思う」
くすくす笑ってくるので眉をひそめた。
「笑うな」
小さく文句を垂れた。