11 ついていく
「いちゃついてんね〜。私、お風呂入るからゆっくり楽しめば?」
弥生はにやにやと笑った。
「あ、お風呂どこ?」
「そこからか」
俺は立ち上がった。
「っ!私も行く!」
瑞穂も慌てた様子で立ち上がった。
「…なんでついてきたの?ついてくるなって訳じゃないけど」
弥生に風呂と洗面所を教え、部屋に戻るところで瑞穂に聞いた。
「住菱くんが真菜さんに変なことしないようにするため」
「変なことって…弥生に手出す訳ないだろ?」
俺は苦笑いした。
「二人きりにさせたら私にはわからないでしょ?心配だからついてきたの」
「ま、瑞穂と居る時間が増えて嬉しいけど」
瑞穂の手を握った。
「住菱くんは私が好きだね」
「当たり前でしょ」
「当たり前だね」
瑞穂は可笑しそうに笑った。
「…!」
階段を上がろうとした時、ぱっと瑞穂の手を離した。
「住菱くん?」
俺は黙って目配せした。
「あら、瑞穂さん、住菱」
母さんが階段を下りてきた。
「お邪魔しております」
「いつも住菱がお世話になってます。ごゆっくりなさってくださいね」
母さんは微笑みながら礼をしてこの場を離れて行った。
「早く戻ろうか」
「う、うん…」
もう一度、瑞穂の手を握った。
「…!」
部屋に戻ると、突然頬にキスされた。
「住菱くんが満たされてないかもと思って」
「満たされてない…?」
俺は首を傾げた。
「気にせず私に甘えればいいよ」
瑞穂はベッドに座った。
「それは膝枕してくれるってこと?」
「なんでもいいけど、住菱くんは何したいの?」
「せっかくなら膝枕してもらおうかな」
隣に座って瑞穂の太ももに頭を乗せた。
「ん…?」
優しく頭を撫でられた。
「今のうちに甘やかしたいの」
「…ありがとう」
微笑みながら目を閉じて瑞穂の手の感覚に集中した。