10 当日
一週間が経ち、ついにパーティー当日になった。
「瑞穂ちゃん楽しみ~」
車に乗っている間、飛鳥はずっとそう言っていた。
俺はというと、なぜか緊張していて余裕がなかった。
(もうすぐだ…)
すでに何台も車があり、ゲストも多いことが目に見えて分かる。
車を降り、会場に入ると何人もの人々が会話をしていた。
「瑞穂ちゃんどこ~?」
「瑞穂…」
心臓の鼓動が早くなる。自然と胸を押さえていた。
「三井さん!」
声の方に振り向くと、得意先の一家だった。
両親がそちらに近づいて行ったが俺と飛鳥は瑞穂を探し続けた。
「三井さん!!」
中央に近づくと、聞き慣れた声がした。
「瑞穂!」
アップスタイルにまとめた髪、深いブルーのドレス。さらけ出されたデコルテには、お揃いのネックレスが輝いていた。
俺は小走りで向かった。
「三井さんにお姉様。おいでいただきありがとうございます」
「こ、こちらこそ」
隣にいた飛鳥の反応が思ったより薄かった。
「どうかしたか?」
「え、いや…」
飛鳥の視線は瑞穂に釘付けだった。
「瑞穂さん、とても大きいですね」
「身長は高い方だと思います」
瑞穂が照れたように言うが俺にはわかる。飛鳥の言っていることと瑞穂の受け取り方が違うことを。
「瑞穂、いつにもまして綺麗だ」
飛鳥が変なことを言わないように話題をそらした。
「え!あ、ありがとうございます…」
顔を赤くして俯いた。
「今夜は住菱をよろしくお願いします。瑞穂さん」
「はい。お姉様も楽しんでいってくださいね」
飛鳥が傍を離れ、瑞穂と二人きりになった。
「あの、もうすぐダンスが始まるので一緒に踊ってくれませんか?」
「ああ。もちろん」
瑞穂が微笑み、俺も笑顔になった。




