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10 三人で昼休み

 昼休みになり、三人で空き教室を訪れた。

「いつもここで食べてるの?」

「はい。三井さんが見つけてくれたんです」

「誰もいないから騒がしくなくてちょうどいいんだ」

机を一つ増やして弥生を座らせる。俺と瑞穂はいつも通り向かい合って座った。

「本当に仲がいいですね…」

弥生が目を見開いて見つめる。

「あ、もしかして女子同士で向かい合った方がよかったか?」

「いや、このままがいいです」

弥生に目をそらされながら言われた。

俺達は弁当を開けて、しゃべりながら食べる。

「そのお弁当の中身は弥生さんの好きな食べ物ですか?」

「まあ、大体そうかな」

「特に好きなものはあります?」

「うーん…オムレツ?」

すると、突然顔を赤くした。

「休み時間の、本のことなんだけど…子供向けの恋愛の話なの」

手で口元を隠しながら言う。

「その本の主人公が好きな食べ物がオムレツで…素敵な話だから私も好きになったの」

「どのような話なのですか?」

「ええっと…主人公が片思いの好きな人に食べさせてもらうシーンがあって…」

最後は小声で本人がいかに気にしているのかがうかがえた。

「わあ…とってもいいですね!」

「俺の姉もよく読んでるな。むしろそんなのばかり」

飛鳥の場合、自分の彼氏と比べてよく文句垂れている。俺にも勧めて勉強しろとよく言われるがもちろん断っている。

「三井さん、お姉ちゃんいるんだ」

「まあな。しがない姉だが」

「私、ひとりっ子なんだよね」

少し寂しそうな顔で言う。

「私もひとりっ子ですよ?」

「そうなんだ。ひとりっ子だと寂しくない?」

「え…あまり感じたことないですね?」

首をかしげて不思議そうに言う瑞穂。

「すごいね…寂しいからよく本読んだり、漫画読んだりして気持ちを紛らわしてる。今は慣れてきたけど、本当は誰かと一緒にいたいって思ってる。話すの苦手なんだけどね」

苦しそうに笑う弥生。瑞穂が話しかけたのは正解だったのかもしれないと俺はひそかに思った。

「確かに、一人は寂しいと思いますが家族がいつもそばにいて、それだけで幸せです。でも、今はこうして三井さんと過ごすことや弥生さんとお話しすることはもっと楽しいです」

「私も入れてくれるんだ」

「当然ですよ!」

それからも他愛もない話を続け、あっという間に昼休みは終わった。

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