9 何読んでるの?
「弥生さんとお友達になれました~」
休み時間になって嬉しそうに俺のもとに来る瑞穂。しかし、
「俺と話してていいのか?」
「え?」
首をかしげる瑞穂。
「だって友達なんだろ?弥生、今一人じゃないか」
一人座って本を読む弥生。瑞穂の方から行かなければ仲は深まらないだろう。
「でも、何を話したらいいのですか?」
「俺も行くから安心して」
瑞穂の手を取って弥生の席へ向かった。
「弥生さん、何の本を読んでいるのですか?」
俺から話しかけた。彼女は顔を上げてくれた。
「ちょ、ちょ、ちょっと言えないです!」
とっさに本を閉じて隠す弥生。何か重要な本なのだろうか。
「そうでしたか…失礼しました」
「あ、いやそんなつもりじゃ」
また慌てて手を振る。
「こんな本、三井さんや安田さんに見せられないですよ…」
顔を本で隠す。顔も赤いし目も逸らされた。
「私、弥生さんが好きな本、気になります。こんな本とは言わず教えてほしいです!」
後ろに隠れていた瑞穂が顔を出した。
「安田さんだけが見るならいいよ…」
瑞穂が弥生の隣に行くと、
「恋のトキメk」
「しーっ!!」
弥生が瑞穂の口をふさいだ。
「ふへもはわひひふぉおもひまふよ」
「口塞がれてるのにしゃべるのかよ…」
俺は流石に笑いをこらえきれなかった。
「や、やめてくださいよぉ」
瑞穂は顔を赤くして対抗した。
「あ、そうだ。弥生さん!」
瑞穂が思い出したかのように言った。
「弥生さん、空き教室でお弁当食べませんか?昨日も本当は使いたかったようですし」
俺も頷いた。
「いいよ。でも、二人の邪魔にならない?私のことは気にしなくていいからね」
瑞穂は首を振った。
「私はいっしょに食べたいです!三井さんもいいですか?」
「ああ。いいよ」
そうして、俺達の昼休みの予定ができた。




