10 ごめんなさい、ありがとう
「絶対誰も思ってない。思うヤツがいたらぶっ殺す」
「いや、そこまでしなくても…」
「殺し方はどうしようかな?刺し殺すのは血が出て汚いし、火あぶりは二酸化炭素が出て地球に申し訳ない…」
「同じことをどこかで聞きましたね」
瑞穂は小さく笑った。
「だから身長を気にするな。あと重くもない。何度も言ってるだろ?可愛いって」
「…」
瑞穂は目を逸らした。
「取り乱してごめんなさい。それから、ありがとうございます」
微笑みながら俺に礼をした。
「瑞穂は可愛いなぁ」
俺は瑞穂を抱きしめた。
「住菱くんは優しいです…」
「瑞穂がちゃんと謝れてお礼を言えるからだよ」
「子どもみたいじゃないですか」
瑞穂は可笑しそうに笑った。
「口に出せないことも多い。それをちゃんと言えるのはすごいことだよ」
「住菱くんだって…ありがとうもごめんも言えるじゃないですか」
「…ありがとう」
瑞穂を思い切り抱きしめた。
「住菱くん、あーんです」
夕食、瑞穂が俺にスープをあーんしようとした。
「え!?」
飛鳥が目を丸くする。
「あー…」
遠慮なく瑞穂からのあーんをいただいた。
「え、嘘…!?」
「なんだよ」
俺と瑞穂を見比べる飛鳥を睨みつけた。
「可愛いね二人とも!!」
飛鳥は立ち上がって俺達の頭に手を伸ばした。
「やめろ」
俺は飛鳥の手をどかした。
「瑞穂ちゃんはいいよね〜」
飛鳥に撫でられて瑞穂は嬉しそうに笑った。
「俺は瑞穂が撫でられるのも嫌だけど…」
瑞穂が嬉しそうなので諦めてため息をつくしかなかった。