6 モテるとか気にしてる時点でね…
「おはよう、すし」
「おはよう、住菱」
今日も今日とて三菱兄弟は朝から二人一緒だ。
「おはよう。昨日は俺がハブられてたみたいだな」
「え、なんで知ってるんだ?」
國元が目を見開いた。
「瑞穂の用事は教えてもらえなかったけど、お前らの相談を聞きながら付き合ってたみたいだな」
「幸せそうなカップルを追いかけてたら彼女が電車に乗らないからね…何事かと思って声を掛けちまったよ」
「お前らはストーカーか?どっかの誰かさんにもやられてたなぁ」
今や郁助と仲良くしてる白髪美少女を思い浮かべた。
「安田さん、本当にいい人だよね。硝樺さんがずっと仲良くしてたのもわかる」
「ああ、本当に。俺はその硝樺さんにストーカーされたことがあるよ」
「え、硝樺さんが住菱を?」
郁助が首を傾げた。
「俺が女子と話してるだけで浮気認定されて…まあ、それから被害はないけど」
「硝樺さんらしいね。僕は硝樺さんのちょっと重いところも好きだよ」
「まじかよ…意外だな」
郁助はにっこりと笑った。
「ああ…幸せそうだな二人…。俺は瑞穂さんにどうしたらモテるのか聞いてたのに」
國元が泣きべそをかきはじめた。
「なんて言われたんだ?」
「モテるとか気にしてる時点でモテるわけないですと言われた…悔しいぜ」
だんだん目に涙が溜まってきた。
「お前、絶対に泣くなよ。めんどくせーから」
「俺のこと面倒なんて言うなよおおお」
滝のように涙を流す國元。正直、情けない。
「けっこう心に傷を負っているみたいなんだ。そっとしてあげよう」
郁助が俺の背中に手を当てて歩き出した。
「待ってくれよ郁助〜」
國元も力なく追いかけてきた。