6 確認
「お、帰ってきた」
廊下に飛鳥が待ち構えていた。
「デートしてきたんでしょ?」
にやにやと笑う姉。俺はとにかく無視をした。
「あ、その袋。いいじゃ~ん仲いいねぇ」
「疲れたから早く寝てくれ」
「はいはい。後で詳しく聞かせてもらうからね~」
にやりと笑って自室へ入って行った。
翌日、学校に着くなり瑞穂が近づいてきて俺の胸元に触れる。
「つけてきてくれたのですね」
小声で耳打ちされた。昨日のネックレスのことだろうが距離が近すぎて落ち着かない。
「私もです。ほら」
胸元に手を当てて俺に確かめるように促してくる。
「いや、さすがにまずいって…」
きょろきょろと周りを見渡して誰も見ていないか確認する。
「ネックレス禁止ですから出して見せることができないのですよ」
「わ、わかったよ…」
震える手で触れてみる。あくまで胸元。その下には触れないように…
「あ、つけてるな。わかったわかった」
少し触ってさっと手を放す。
「本当ですか?」
瑞穂が怪しいというように見つめてくる。
「わかったって。あんま触っても変態扱いされるだけだろ」
そっぽ向いて焦る気持ちを落ち着かせる。
「まあ、いいですよ。三井さんにつけてもらえてうれしいですから」
満面の笑みを向けられて俺もうれしくなった。