11 俺が好き?
「硝樺とはどうだった?」
翌日、郁助に聞いてみた。
「楽しかった…よ」
「照れてるな〜郁助!」
國元が肩を組んだ。
「硝樺と仲良くやってて良かった」
「うん…!」
郁助は恥ずかしそうに微笑んだ。
「お前も、瑞穂さんとデートしたんだろ」
國元が俺の肩に手を置いた。
「目当てのものは見つからなかったけど楽しくやってたよ」
「幸せ者がここに二人も…」
「残念だったな」
泣きべそをかく國元に鼻で笑ってやった。
「住菱と硝樺さん、すごく仲が良いんだね」
「え…?」
俺は顔をしかめた。
「硝樺さん、住菱のことたくさん話してたよ」
「なんであいつが俺のこと語っているんだ?」
全く想像がつかない。
「住菱のこと好きなんじゃないかな?」
「はぁ?!てか、お前はそれでいいのかよ!」
俺は目を丸くした。
「僕は硝樺さんの姿を見られるだけで嬉しいから…住菱の話してる時の硝樺さん、ちょっと元気になってるっていうか」
「それ、苛ついてるだけじゃね?」
元気というではなく頭に血が上っているだけだろう。
「そうかな?僕は怒っているように見えなかったよ。怒っているような口調だけど強がってるだけなんだよ」
「まあ、そういうやつだけどさ…」
まさにツンデレ。
(ツンデレ…?)
少し引っかかった。
(瑞穂にはベタベタでツンがないからツンデレな訳ないか)
気にしてしまった自分に鼻で笑った。