5 綺麗な宝石
百貨店の中にあるカフェにやって来た。
「開けていいですか?」
「あ、待って」
俺も急いで箱を取り出した。
「一緒に開けよう」
「は、はい…!」
ゆっくりと箱を開ける。中からキラリと輝く宝石が見えた。
「綺麗だな」
「はい…」
瑞穂はうっとりと眺めていて言葉を失っていた。
「不思議です。何度も宝石を見てきたのにこんなにきれいだと思ったことは久しぶりです」
目を細め、一瞬も宝石から目を離さない。よほど気に入ったようだ。
「俺も。瑞穂と同じものだから愛着沸いた」
「三井さんったら…」
眉をひそめ、不機嫌そうに言う。拗ねた姿も可愛いと言ったらさらに怒られるだろう。
それから少しカフェで過ごして、帰ろうとした。
「ありがとう。ネックレス」
「こちらこそです。私のお願いを聞いていただき、ありがとうございます」
一緒に電車に乗り、途中まで一緒に乗った。
「遅かったですね。心配しましたよ」
家に着くなり母が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「瑞穂さんと百貨店へ行っておりました」
「あら。そうだったのね…瑞穂さんと仲が良くて安心です」
ほっと肩の力を抜いた母。
「危ないことをしない限り、瑞穂さんとのお付き合いは何でも許しますよ」
「ありがとうございます」
軽く礼をして自室へ向かった。