4 俺に話がある
「瑞穂さんと結婚!?いいのですか!」
気がつけば硝樺が瑞穂の後ろに立っていた。
「瑞穂さん」
硝樺は瑞穂の横に跪いた。
「私と結婚してください」
胸に手を当てて真剣な眼差しで見つめた。
「お、お断りします…!」
瑞穂は顔を赤くして首を振った。
「そんな…!!」
「何やってるんだか」
床に座り込んだ硝樺を見て俺は苦笑いした。
「硝樺さん」
そんな硝樺に郁助は手を差し伸べた。
「ありがとうございますわ」
素直に手を取って郁助に立ち上がらせてもらった。
「住菱、そろそろ帰ろうと思うんだけど二人はどう?」
「なら、俺達も帰るよ」
俺と瑞穂も立ち上がった。
「…あの、三井さん」
硝樺が目を逸らしながら俺を呼んだ。
「何?」
「話がありますわ…あなたに」
緊張した面持ちで言う硝樺。
「俺に…?」
驚きで目を見開いた。
「瑞穂さん、申し訳ないですが三井さんお借りしてよろしいでしょうか」
「え、は、はい…」
瑞穂も驚いているようだった。
「では、お二人はお帰りになってよろしいですわ。私と三井さんは残ります」
「はい…さようなら住菱くん、硝樺さん」
先に瑞穂が手を振って帰っていった。
「じゃあ、僕も。さようなら」
礼をして郁助も帰っていった。
「…なんで俺だけなんだ」
「不満ですの?私だって瑞穂さんがいないのにあなたと話したくないですわよ」
俺達はもう一度席に座った。
「本当に可愛げがないな。郁助にもきつい言い方してたのか?」
「していませんわ。あなたとは違って」
俺は顔をしかめた。
「俺にそんな言い方するのにわざわざ二人きりにさせたのはなぜだ」
「…あなたと瑞穂さんの会話、聞こえていましたわ」
硝樺は突然暗い顔をした。
「恐ろしいな。地獄耳か?」
「愛する瑞穂さんの声を聞くためですわ」
硝樺はふんと鼻で笑った。