3 結婚相手
「一か月しか変わらないし早めだからすぐ結婚できるじゃん」
「それは嬉しいですけど、お互い過ぎていたなんて…」
瑞穂は俯いた。
「教えてくれたらよかったのに」
「住菱くんこそ」
俺を睨みつけてきた。
「硝樺みたいに睨むなって。来年は絶対祝うから」
「…私もです」
瑞穂は目を逸らした。
「そういえば、二人は上手くいっているでしょうか?」
硝樺と郁助の方に振り返った。
「話してるから上手くいってるんじゃね?」
普通に会話をしているようだった。
「心配しなくても仲良くできそうですね」
瑞穂は安堵したように笑った。
「郁助の人柄を嫌う人はいないだろ」
俺も微笑んだ。
「三菱さんってどんな方なのですか?あまり話したことないのでわからないのですが…」
「瑞穂が一番近いんだよなー。優しくて可愛くて人に好かれるオーラを持っているよな」
「じゃあ、硝樺さんも好きになるかも」
瑞穂は嬉しそうに微笑んだ。
「そう簡単にいくかな?」
「硝樺さんも跡継ぎなので結婚する必要がありますから…そろそろ私から離れてもらったほうがいいですよ」
瑞穂は俯いた。
「硝樺って一人っ子か?」
「はい。だから、硝樺さんしか跡継ぎはいないのです」
「家のためには結婚したほうがいいよな…」
俺は硝樺を見た。
「硝樺さん、告白されることも多かったんですよ。でも、私が好きだからっていつも断ってて本当に勿体ないです。私ではなく、ちゃんと…男の人を好きになってもらったほうが幸せになれると思うのに…」
結婚して子どもを産むまでが跡継ぎの役目だろう。
「硝樺が男だったら瑞穂は結婚していたか?」
「え、それは…どうでしょう…」
瑞穂は目を泳がせた。
「付き合うくらいはしていそうだな」
「勝手に決めないでくださいよ!」
顔を赤くして怒られた。