12 変に背伸びしなくていい
「俺の可愛いがまたいくつか更新されたんだけど」
「可愛いってからかっているんですか?褒めているんですか?」
「褒めてる。これ以上の褒め言葉はない」
はっと閃いた。
「可愛いの部分を好きに変えたら俺が褒めてるって伝わったか?」
「わ、わかりましたから好きに変えなくていいです」
瑞穂は慌てたように言った。
「それにしても、下手くそって…ひどいです」
「だって下手くそなんだもん」
それもまた可愛いのであえて言わなかったが。
「そんなこと言うなら住菱くんが私のこと誘ってみてください」
瑞穂は頬を膨らませながら言った。
「俺は誘おうとしなくても勝手に瑞穂が変なこと考えてるから何もする必要がない」
瑞穂の耳元でそう呟いた。
「私のこと舐めてますね!?」
勢いよく言われたが、
「えっ…」
腕を掴んで引き寄せればすぐに静かになった。おまけに膝の裏にも腕を滑り込ませて持ち上げれば瑞穂はびっくりして声も出なくなる。
「変なことを考えてしまう瑞穂はどこに連れて行かれるかまで勝手に想像してしまっている。そんなの、もう瑞穂を誘うのに成功したもんでしょ?」
「か、考えてないですし?」
瑞穂は目を逸らした。
「考えてるの見え見えだから」
ベッドに降ろした。
「住菱くんこそ直接連れて行くなんて下心しかないですね」
「誰が誘えって言ったんだ?」
俺はクローゼットを開けた。
「ちょっと!何勝手に…!」
「ほら。それじゃ寝れないだろ」
ネグリジェを取って瑞穂に渡した。
「勝手に入らないでください…」
瑞穂は目を逸らした。
「うんうん。可愛い可愛い」
着替えて戻ってきた瑞穂の肩を叩いた。
「こっちのほうが落ち着く…」
「俺も」
瑞穂は苦笑いした。
「住菱くん、こっちのほうが好きそうですね」
俺は瑞穂を抱きしめた。
「…好き」