10 おいかけっこ
「強引な住菱くんもかっこいいです」
瑞穂は微笑んだ。
「何喜んでいるんだよ」
俺は瑞穂を引き離した。
「頬触られたからキスされると思いました」
「迂闊に瑞穂を触るのはやめよう」
俺は立ち上がって瑞穂から離れた。
「なんでそんなこと言うのですか〜」
瑞穂も立ち上がって俺を抱きしめようとしたので逃げた。
「ひどい!」
「むしろ捕まえてみろ」
俺はにやりと笑った。
「住菱くん捕まえます!」
それから部屋中走り回った。
「疲れました…」
夕食に呼ばれて息切れしながら向かった。
「高校生にもなって同級生の女子とおいかけっことは…」
俺も苦笑いした。
「捕まえられなかったし」
瑞穂はがっかりしていた。
「楽しかったからいいや」
「…そうですね」
俺達は微笑んだ。
「住菱くん捕獲ー!」
夕食も食べて風呂にも入って瑞穂の部屋に戻れば足をがっしりと掴まれた。
「何してって…えぇ!?」
足元を見ればうさ耳の大きなカチューシャが目に入った。
「私の勝ちです」
顔を上げて自慢気に笑った。
「もう着てるし…」
肩から胸元まで素肌が曝け出されていた。
「言いましたよね、気が変わるかもって」
立ち上がり、髪を振り払った。
「相変わらず可愛いし似合ってるからいいけどさ」
「そ、そうですか?」
恥ずかしそうに顔を赤くした。
「いつものネグリジェもめちゃくちゃ可愛いけどな」
俺は顎に手を当てた。
「どっちがより可愛いですか?」
「んー…」
究極の二択。どっちも可愛いと言ったのだから素直に受け取ればいいのに。