5 家にいないけど
「瑞穂さんお久しぶりっすー!」
カフェで國元がにこにこしながら言った。
「お久しぶりです」
「最近、すしが家にいないこと多いんですけどどこに行ってるか知ってます?」
「なんで瑞穂に聞くんだよ」
本人である俺に直接聞かずに彼女に聞く辺り性格悪い。
「瑞穂さんに黙って行ってるんだろ?そういうの良くないぞ?」
「お前は俺のこと舐めすぎだ」
俺はふんと笑った。
「瑞穂、言ってやれ」
「え?私の家にいるってことですか?」
瑞穂は首を傾げた。
「自分の家じゃなくて瑞穂さんの家だと…!?」
「そうだ。最近行ってるし今日も瑞穂に家に来いって言われてた」
「み、瑞穂さんが誘ってるの!?」
國元は目を見開いた。
「は、はい…」
「瑞穂さん、すしの家にも行ってたし自分の家にも呼ぶんだ…」
國元は息を飲んだ。
「住菱、お前まさか…!」
「なんだ?悪いかよ」
俺は國元を睨みつけた。
「ま、まあ?俺だって経験ない訳じゃないし?」
「ほんとかよ」
「ホントだって。やっぱ鍛えてるとモテちゃうんだよな〜」
そう言ってにやにや笑った。
「お前、彼女いないんじゃなかったっけ?」
「彼女いなくたってできるもんだよ案外」
「…」
俺は國元を睨みつけた。
「これ以上話したくないな。よく跡継ぎのままでいられるな」
「まだそんなにだし?」
俺はしばらく黙った。
「瑞穂はこういう悪い人間になるなよ」
「私は住菱くんだけですよ?」
瑞穂は当たり前のように言った。
「あーすし…お前はいいなぁ…」
國元はため息をついた。