6 考え方が甘い
「言うな瑞穂!言ったら周りにどう思われるのか危機感を持ってくれないと!!」
「三井さん、そんな危ない趣味してるの…!」
弥生が目を丸くした。
「趣味って言うほどでもないぞ!むしろ俺はそういうのと真逆の趣味をしているはずなんだけど…!」
「一体何してるの三井さん…!?」
弥生に肩を掴まれて前後に揺らされた。
「瑞穂ちゃん大丈夫!?三井さんに何かあったら助けられるのは瑞穂ちゃんだけだよ!!」
「え、あ、はい…」
瑞穂は弥生の勢いに圧倒されていた。
「三井さんの好きなあれって…何?」
弥生は不安気な顔で言った。
「…耳貸してくれ」
諦めて俺は弥生に耳打ちした。
「ああーなるほどね…瑞穂ちゃんの…ね?」
弥生は頷いた。
「そういうことできるの彼氏の特権だし瑞穂ちゃんがやってくれるなら私からは何も…」
「弥生、目が死んでる」
かなり絶望的な顔をしていた。
「あの、住菱くんは悪くないです。私が勝手にやったことだから…」
瑞穂が恥ずかしそうに言った。
「いや、二人が楽しいならいいんだよ!二人のことだし私が何か言う権利ないから…!」
弥生が手を振りながら慌てて言った。
「いやー私って考え方が甘いっていうか?そういう話についていけないよ」
弥生は苦笑いした。
「ご、ごめんなさい」
「謝ることじゃないって。私、彼氏いないからずっと夢見ちゃうんだろうな。少女漫画みたいな甘い恋に…」
そう言う弥生の顔は悲しそうだった。