2 友達
飛鳥は、俺達の中で一番年上で考えることも何か違った。
「飛鳥ねーちゃんまた勉強?」
「僕達とあんまり遊んでくれないよねー」
誰よりも自分の立場を理解していて俺達には追いつけなかった。
「國元も跡継ぎになるんでしょ?もっとお勉強しなよ」
「はぁ?やだし。俺は飛鳥ねーちゃんみたいに友達と遊んでくれない人になりたくない」
「え…」
飛鳥はその言葉に傷ついた。
「私、馬鹿だった」
「え?」
飛鳥が突然、俺の前で呟いた。
「私、國元くんとも郁助くんとも遊ぶ。もちろん、住菱も…!」
「うん」
そう言ってからよく遊び、よく学ぶようになった。
「飛鳥ねーちゃんは頭もいいしたくさん遊んでくれてすごいよな!飛鳥ねーちゃんかっこいいぜ!」
俺達三人の憧れ。すごく尊敬していた。
「転校するの?」
「うん…」
「すし、もう会えないかもしれない」
「え…」
あの時の俺にはよくわからなかった。なんで二人が転校するのか。なんで会えなくなるのか。
「でも、俺達が大人になって跡継ぎになったらまた会おうな。飛鳥ねーちゃんも」
そう言って別れを告げた。
「なんで二人は転校したんだろ…」
「私達が気が緩んでいるからだよ」
飛鳥に強く言われた。
「友達だから仲良くするのもいいけどさ…私と國元くんは跡継ぎだから。いつまでも友達できないんだよ!」
飛鳥は泣きながら言った。
「お父様もお母様も私と國元くんがちゃんと跡継ぎになれるように離れさせようとしたんだよ。私はそんなことされなくたって絶対跡継ぎになれるのに!住菱だって二人と友達で居たかったよね!?」
「俺は…」
力強く拳を握りしめた。
「友達だよ。離れたって転校したって友達だよ。会えなくなっても友達のままだから心配することない。絶対また会うから」
飛鳥は俺のことをじっと見た。
「そうだよね…離れたからって友達終わりじゃないよね…」
飛鳥は涙を拭った。
「立派な跡継ぎになって、二人とまた会おう!約束!」
飛鳥は俺の目の前に手を差し出した。
「約束!」
俺もその手をしっかり握り返した。