6 六年分の出来事
「三菱さん達は友達なのですよね…今でも」
瑞穂が不安気に聞いてきた。
「ああ。友達…友達のはずなんだがな」
瑞穂には俺たちが複雑な関係になっているように見えるだろう。
「まだ久しぶりに会ったばかりだから。時間が経てば俺達は仲いいってわかるはずだ」
心配させないように笑顔で答えた。
「後ででもいいので昔の住菱くんたちの話を聞きたいです。私には知らないことをあのお二人は知っているはずなので」
「…ああ。恥ずかしいことは言わないでほしいけど」
「えぇ?そういうことが聞きたいのに」
瑞穂が可笑しそうに笑った。
「飛鳥ねーちゃん居るか?」
また朝から三菱兄弟が待ち構えていた。
「飛鳥に話しかけるな。あいつ、毎日遅刻ギリギリで家出るから人と話す暇はない」
「飛鳥ねーちゃんが遅刻!?」
國元は顔をしかめた。
「飛鳥ねーさんらしくないな…」
郁助にまで不思議そうにされた。
「これで分かっただろ。昔とは変わったんだ」
二人は悲しげな顔をした。
「お前が跡継ぎになったのも…飛鳥ねーちゃんに何かあったからか?」
「…そうだよ」
俺は二人を置いて歩き出した。
(小学生の頃から会ってないと話すことが多すぎる)
電車の中でため息をついた。
(六年分の出来事を話すって大変だな)
何を話せばいいかよく考えようと思った。