12 気が利く姉
大輪の花を見ていたら時間の流れもあっという間で花火もフィナーレに向かっていた。
「すごいです!今までで一番多く上がってます!」
瑞穂はずっとこんな調子だ。
「すごく眩しいな…」
金色に輝く花は何本も咲き続ける。大きなものから小さなものまで絶え間なく上がっている。
最後に、特大の花火が打ち上がって終了した。
「すごかったです!とても綺麗でした!!」
「楽しかったね〜」
瑞穂は弥生と笑い会った。
「来年も見に来ようね!」
「はい!もちろんです」
瑞穂は思い切り頷いた。
「じゃあ、私は帰るね。今日はありがとう!」
弥生は手を振って歩き出した。
「あたしたちも帰ろっか」
「ああ」
頷いて瑞穂の手を取った。
「あ、硝樺ちゃん!あたし、わたあめだけ食べたいからいっしょに来て!住菱と瑞穂ちゃんは先帰ってていいから」
飛鳥は硝樺の手を掴むと走って行った。
「飛鳥さん、硝樺さんと仲良くなったのでしょうか」
「わからないけど、俺達のためなんだろうな」
俺は小さく呟いた。
「気が利く姉のためにも先に帰るか」
俺は瑞穂の手を握った。
「はい」
瑞穂が笑顔で頷いた。
「住菱くん、何も食べていなかったですがお腹空いてないですか?」
「空いてるよ。それはめちゃくちゃ」
「何か買いますか!?」
瑞穂が驚いた顔をした。
「大丈夫だよ。家帰れば夕食だし」
「でも…」
悲しげな顔をする瑞穂に笑いかけた。
「せっかく二人きりにしてくれたんだから、このまま帰ろう」
「…はい」
瑞穂は小さく頷いた。