9 りんご飴の似合う彼女
「はい。食べられる?」
俺は瑞穂にりんご飴を渡した。
「…!ありがとうございます」
瑞穂は笑顔で受け取った。
「どこか座る?」
「はい」
瑞穂はりんご飴を大事そうに持ちながら歩いた。
「美味しいです」
りんご飴を頬張りながら言った。
「良かった」
「ありがとうございます」
瑞穂は笑顔を見せた。
「みーつけた」
後ろから肩を掴まれた。
「真菜さん!」
「やっほー。久しぶりだね」
弥生は瑞穂の隣に座った。
「いい感じの雰囲気してたけどお邪魔だった?」
「そんなことありませんよ」
瑞穂は首を振った。
「三井さんの邪魔しちゃったかな?」
「な、なんでだよ」
弥生はにやりと笑った。
「さっきからずっと瑞穂ちゃんのこと見てるでしょ?」
「そうだけど?」
「否定しないだと!?」
弥生は目を丸くした。
「瑞穂が可愛いから」
「…幸せそうだね」
弥生は苦笑いした。
「りんご飴食べてる瑞穂可愛い」
「あ、ありがとうございます」
瑞穂は顔を赤くした。
「それは瑞穂ちゃんが食べたくて買ったの?」
「いえ。住菱くんがくれました」
「え、三井さんが?…ふふーん」
弥生は俺を見て笑った。
「瑞穂ちゃんとりんご飴。最高に合ってるね」
「瑞穂が顔を赤くしたらりんごみたいだからな」
「二人してからかっているのですか!?」
瑞穂はきょろきょろと俺達を見た。その姿を見て俺も弥生も笑ってしまった。
「三井さん射的やって!」
食べ終わったので屋台を回っていたら弥生が声を上げた。
「瑞穂ちゃんのハートを射止めた三井さんなら当てられるよ!」
弥生は銃を撃つ真似を手でやった。
「逆な気がするんだが…」
俺は瑞穂を見た。
「何言ってるの!ここはかっこいいところ見せるんだよ!」
「いたっ」
弥生に思い切り背中を叩かれた。