3 過保護
硝樺も家に入れて瑞穂が夏休みの間、俺の家に泊まっていることを話した。
「同棲なんて三年早いですわ!」
硝樺は瑞穂の肩を掴んだ。
「大丈夫ですか?変なことされてないですか?」
「変なこと?」
瑞穂は首を傾げた。
「無理矢理体を触られたりとか暴力とか振るわれていないですか…!?」
「無理矢理触られることはないですよ。暴力も振るわれたこともありません」
瑞穂は笑顔で返した。
「見たところ怪我もしていないし大丈夫ですね…」
硝樺はほっと息を吐いた。
「俺はそんなことしないって」
「わからないじゃないですか!瑞穂さんにも直接聞かないと真実はわかりません!」
硝樺は俺を睨みつけた。
「硝樺は過保護すぎるって…」
俺はため息をついた。
「当たり前ですわ…。瑞穂さんは温厚篤実、容姿端麗、頭脳明晰ですもの。こんな素晴らしい人は世界で…いえ、宇宙でたった一人!瑞穂さんだけですもの!!全力でお守りいたしますわ!!」
両手を広げて言う硝樺。こんなにも強気で迫力のある硝樺は見たことがない。
「硝樺の言うことは間違っていないけど、過保護はどうにかしたほうがいい」
「私の言うことに同意するならあなたも私くらい瑞穂さんのことを守るべきですわ!!瑞穂さんに擦り傷一つでもつけたらあなたをぶっ殺してやりますわ!!」
「ぶっ殺すって…」
俺は苦笑いした。
(こいつ、意外と物騒な言葉使うんだな…)
「殺し方はどうでしょう…刺し殺すのはあなたの汚い血が溢れるので嫌ですし、火あぶりは二酸化炭素が出て地球に申し訳ないですわ…」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
瑞穂が硝樺の腕を掴んで止めた。
「住菱くんを殺さないでください…!」
「瑞穂さん…」
悲しげな顔をする瑞穂を見て硝樺は目を見開いた。