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神さまの器〜母ちゃんと僕と、ときどき阿修羅〜  作者: 黒砂 無糖
共に暮らす仲間達の悩みと葛藤
13/60

迷った時の八咫烏 

母ちゃん・・・

想定外だった。


祝詞を唱え、神に助力を願った筈だ


それなのに、


母ちゃんが空から降って来た


今、僕は母ちゃんが戦う姿を見ている。


しかも、母ちゃんが強すぎる


まず、雷と一緒に落ちてきたと思ったら、

竹箒で敵を薙ぎ払い、吹き飛ばし


この時点で、既におかしいんだよ


「・・・母ちゃん?」


母ちゃんは修羅の形相で、


「貴様らぁ!よくもウチの息子に手ぇ出しやがったな?雑魚はいらん邪魔だ!退け!」


と言って暴れ出すし、なんか怪しい呪術的な物を発動して、一瞬で全妖を捕縛して


バキッ!


餓鬼の顔面に蹴りをかましてるし、

そのせいで、餓鬼が、怯えてた。


「・・・母ちゃん?」


僕は、何を見ているんだろうか


蹴られた餓鬼に目が行った隙に

母ちゃんの背中に、阿修羅が巻き付いている


—-ちょっと、近過ぎないか?


母ちゃんは、気にせず腕まくりを始めた。

でも阿修羅に何か言われたのか腕を下げた


「アンタら、暴れたいだけなら、弱い奴らに手ぇ出すんじゃねぇ!どうせなら格上に挑め。弱者を集団で襲う?みっともない真似するんじゃ無いよ」


—-母ちゃん、相変わらずキレッキレだな


餓鬼が、母ちゃんにぺこぺこしてる


気持ち分かるよ。母ちゃん怖いもんな?

と、餓鬼に同情していたら


「テメェら返事すらまともに出来んのか!」


って怒鳴り声がして、びっくりしたから


「「はい!絶対に言わないです!」」 

「はい!!」


って思わず返事しちゃったよ?



餓鬼達は阿修羅が作ったゲートから帰ったみたいだ。最後の一匹が入った時


「あの・・・」


僕は近寄り声を掛けた。


振り返った母ちゃんは、

ホッとした顔をしていた。


——心配かけたよね、ごめんなさい


と、心で謝り、ついと阿修羅を見て


「あの、母に抱きつくの、見ていて気まずいので、辞めて貰えませんか?」


と、文句を言った。


男にバックハグされる母親とか、

正直見るに耐えない


「悠、気にするところ、今はそこじゃ無いでしょ?」


阿修羅、イケメンだし、ムキムキ半裸なのに

母ちゃん、全く気にして無いんだな


それは、女性としてどうなんよ?


「だって母ちゃん、母親が男にべったり懐かれてる姿、思春期の息子は、普通に見たく無いと思うよ?」


母ちゃんが全くその気が無いのは

知ってるけど、一応ね?


「お前達、再会の感動とか無いのか?」


阿修羅に言われてもなぁ

そもそも、お前のせいだよな?


「え?だって母ちゃん・・・」


どうせ母ちゃんなら・・・


「悠が生きてるなら、それでいいよ」


だよね?僕が元気な時点で、

母ちゃんの心配は無くなったはずだよね


「って人だから、感動は出来ない」


そんな事より・・・


「とにかく、母ちゃん抱きしめるのは辞めて、離れてくれません?」


さっきより密着してるよな?わざとか?


「悠はマザコンか?」


阿修羅は母ちゃんに殴られて消えた。


その後も、母ちゃんと阿修羅はごちゃごちゃ言い争いしていたが、


2人は随分仲が良いんだな?

と思っていたら


「悠、帰るわよ」


と言われた。咄嗟に


「母ちゃん、今は無理だよ」


と口から出てしまった


「なんでよ?あなたが居ても、何も出来ないでしょうが、自分すら守れないじゃない」


チクショウ、母ちゃんの正論パンチだ!

いつもながらに、キッツイなぁ


「母ちゃん違うよ、出来ないと、やらないは違うって、教えてくれたのは母ちゃんだろ」


僕は、やるって決めたばかりなんだ。

だから、これからなんだよ


母ちゃんが阿修羅に何か言ったのか


「ああ、任せろ。悠、何があったら呼べ」


と、阿修羅が答えた。何を話したんだろう?


「悠、自分で決めたんだ、必ずやり遂げなさい。自分から逃げるんじゃないよ」


分かってるよ母ちゃん


「でも、いつだって母ちゃん飛んでくるからね。爺ちゃんのご飯作るから帰るね」


と言って、あっさりと帰って行った


「・・・母ちゃんありがとう」


母ちゃんの突き放す時は僕の背中を押す時だ


「勝手にしなさい」は自分で頑張れだ


僕はちょっと涙が出そうになったけど


「相変わらず母ちゃん怖いにゃ」


と、小梅が呟いたので、ついでに汛を見たら

耳を倒し、尻尾は股の間に挟み


「彼女が悠の母君?違い過ぎない?」


と明らかに怯えていたので笑ってしまった


母ちゃん、そんなんだから

——ずっと、独り身だったんだな?


なんて思いながら、寧ろありがたかったと、僕は、自分勝手に考えていた





家に帰宅途中、汛と小梅が買い物をして行く

と言うから、僕は先に帰るといい別れた


幻世に来て、ひとりになるのは

この時が初めてだった。


「ちょっと散歩でもするか」


僕は、ちょっと遠回りして、

街外れの丘に登った。


街中がよく見える。


丁度良い位置に大木があったので、

もたれ掛かり、街をぼーっと見ていた


母ちゃんには、残るって言いはったけど


——守りたいって、何をどう守るべきか


そんな事を考えていたら、

頭の上にコツンと何かが落ちた


拾うと、ビー玉だった


見上げたら、頭上の枝に

一匹のカラスがいた


「これきみの?落としたよ」


そうカラスに教えると

カラスは降りてきて、僕の膝に乗った


人懐っこいカラスだな?


「ハイ、返すね」


ビー玉を渡すけど、クチバシでグイグイと

ビー玉をこちらに押し付けてくる


「くれるの?ありがとう」


そう言って、カラスをよく見たら


——足が3本・・・八咫烏じゃん!


「キミ、八咫烏?」


僕が尋ねても、

八咫烏は黙ってじっとこっちを見るだけだ


「おやつ、一緒に食べる?」


と言っても、微動だにしない

迷ったらカラスに尋ねるといい、だったか?


「・・・悩み聞いてくれる?」


と、口にしたら、八咫烏は頷いた

聞いてくれるみたいだ。


「どう守ればいいのか、そもそもわからないんだ」


出来ないとやらないは違うと、言ったけど、

実際のところ、その前段階なんだよな


「僕は無力だからさ、このままじゃ、汛の足を引っ張ってしまうんだよ。今、頑張って祝詞を唱えてるけど、祝詞は長いから・・・」


つい先ほどまでの話を、八咫烏に話した


「僕は、実戦では役に立たないよな。母ちゃんが言った通りなんだよ」


八咫烏は黙って聴いている。


「でも、僕だって力が無い訳じゃないんだ。使い方だと思うんだよ。・・・爺ちゃんに言われた時、修行しとけば良かっただけだよな」


後悔しても自業自得だよな


「でもさ、今からだって出来る筈なんだ。

なんだって、やってみなきゃわからないだろ?」


"やってみなきゃわからない"は、

母ちゃんの口癖だった。


やる前から文句言うなとも言われたな。


そうだよな、悩んでる暇があるなら

とりあえず動こう、今やれる事をやるんだ


「ありがとう、話していたら、何をするべきか、なんと無く自分が見えてきたよ」


とりあえず、まずは祝詞を完璧にしよう


「出来ないじゃ無くて、今、やれる事からやってみるよ。聞いてくれてありがとう」


僕が、ハッキリ言い切ったら、

八咫烏は飛んでいってしまった


八咫烏、側にいるだけなのに

僕を導いてくれたのかもしれないな


阿修羅は登場にこだわりがあるので

毎回空から落ちてきます



読んで頂きありがとうございます。もしお話が気に入ってくれたなら、★評価、ブクマ、コメント、反応よろしくお願いします!

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