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19話・きみが気を失ったのは私のせいだ



「……レリー、バレリー」


「リヒモンドさま?」



 気が付けば東屋で横になっていた。リヒモンドが運び込んだらしい。彼は必死に呼びかけていたらしく、顔面は蒼白だった。



「気が付いたか。良かった。どこか痛いところは?」


「大丈夫です。ご心配おかけしました」



 体を起こそうとしたら、リヒモンドが手伝ってくれた。



「私、長いこと気を失っていましたか?」


「いや、ほんの数分のことだけど。心配したよ。このまま目を覚まさなかったらどうしようかと……」



 心痛な面持ちを崩さない彼の背後で、「リヒモンドさま、医師がいま……」と、駆け込んできた侍女がいた。その後を大公お抱えの医師が追ってきた。



「お嬢さま。気が付かれたんですね?」


「一応、診察させて頂いても宜しいか?」



 それから医師の診察を受けて何も問題ないと言われたので、帰宅することにした。私が気を失った時、リヒモンドは大声で周囲にいる者を呼び、近くにいた侍女がそれに応えて、医師を呼んできたらしかった。



「済まなかった。きみが気を失ったのは私のせいだ。配慮が足りなかった」


「いいえ。衝撃ではありましたが、それはそのことによってで、けしてあなたさまのせいではありません。気にしないで下さい。リヒモンドさま」



 まだ不安な様子のリヒモンドに私は微笑んだ。



「こうみえて私、意外と頑丈に出来ておりますの。今では薪割りも得意でしてよ」


「それは頼もしい」


「だからもう大丈夫です。ご安心を」



 リヒモンドはまだ心配していたが、私が気を失ったとどこからか聞きつけたらしい父が駆けつけると、後は任せるようにその場から去っていた。



「一体、何があったのだ? バレリー?」


「別に何も」


「何も無いわけがないだろう? お前が倒れる前にあのお連れさまと揉めていたようだと聞いたぞ」


「そのようなこと、誰が言っていたのですか?」


「侍女達だ。昼餐の間からおまえが中に入らずに出て行くのを目撃し、その後をディジーが追っていったのが気になって後を付けたらしい。そしたら二人が墓場に向かい、揉めるような声がしてきたので、近くを通り掛かったリヒモンドに頼んで、様子を見に行ってもらったと話していたぞ」



 どうもタイミング良くリヒモンドが会話に入り込んで来たと思ったら、そういう経緯があったようだ。私の行動を、数名の侍女が気にしていたらしい。



「墓場からディジーが出て来たと思ったら、リヒモンドが助けの声を求めながら、おまえを抱き上げて出て来たというではないか。ディジーと何があった?」


「ディジーさまと何かあったわけではなくて……」


「庇わなくても良いぞ。あの娘は平民だというのに厚かましい態度でウォルフリックさまに侍っていると言うではないか。しかも墓場にも勝手に入り込んで……」


「お父さま。彼女は墓場への立ち入りは、ベアトリスさまから許しを頂いていると言っていました」



 父は憤慨しながらも、ベアトリスさまが許したと聞き、「そんなはずは……」と、呟いた。




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