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異世界商社マン  作者: サラーリー
1/1

転勤

「あいつが○○配属になったらしい」「あいつが電話に左遷らしい」そんな会話が社内に流れ出す。年明けから徐々に始まるこの会話は2月下旬ごろに一度止まる。

2月下旬までに出る人事異動の噂は基本的に「社内でも有名な優秀な奴」もしくは「社内でも有名な無能な奴」だけ。俺みたいな万年平凡社員の噂は異動になっても噂として流れないし、3月中旬まで本人すら知らないのだ。

そして今日は来るべき人事異動の正式発表日の3日前、本人への異動通達日だ。基本的に商社の営業マンなので、担当商材が変わるか地区が変わるかだけ。中堅社員ともなると若手の頃のソワソワ感もなければ、ベテラン層の左遷への恐怖もないので落ち着いたものだ。

とはいえ今日は部長から面談に呼ばれているため、少しはドキドキしている。今日呼ばれているということは俺も3年いたこの部署から異動するということだからだ。

14時、会議室のドアを叩く。就活時代はノックは3回だの2回は失礼だの言われていたが、今や社内ではノック4回、挨拶は「お疲れっす」だ。慣れたものだ。

「お疲れっす」「異世界」「?」「異世界」「はあ」「異世界だ」「は?」


4月1日

異世界は日本語が通じるらしい。

原料を調達し、日本に輸送する。大きな商社なので異世界の事業に資本を投じ、その事業に経営から携わっていく。仕事内容は変わっていない。


3月31日

目が覚めると俺の前に見たことあるおじいちゃんが立っていた。家で寝ていたはずだが、まあ異世界という単語を聞いてからあまり驚かなくなってしまった。無機質な真っ白い部屋に変な輪っかが一つ。

なるほど、イメージ通りの異世界ワープ装置だ。

見たことのあるおじいちゃんは外務省の大臣だった。異世界も外務省管轄とは官僚も大変だ。俺の友人に外務省官僚がいるが、あいつはこんな奇想天外な機密事項を国民に、俺たちに隠しながら仕事をしていたのか。並みの神経ではない。

異世界が存在するなど聞いたことがないし、なぜ商社マンの俺が異世界に行く羽目になるのかというのが本当に意味がわからないが受け入れるしかなかった。

簡単な説明を受けた。日本語が通じること。異世界にしかない原料があるため、それを調達してほしいこと。異世界にある輸送事業を運営している会社に投資をしているので、そこに出向となるということ。

異世界も地球と変わらないなという若干の落胆を感じながらも、俺はワープした。




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