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「さぁ、マーロア、来るんだ。大人しく付いてこい」


 ガシャンと鉄格子の鍵が開けられ、男たちが入って来た時、『騎士団が突入する。騎士団に場所を知らせろ』団長からの許可が降りた。


 リディアさんに視線を合わせて小さく頷き、合図を送る。


「気持ち悪いわ!」


 私はそう叫び、私の腕を掴もうとしていた男を殴りつけると、男は壁際まで吹っ飛び倒れた。

 一瞬の事態に男たちが動揺して動きを止めた。

 すると、外の方からこの牢屋に向かってくる足音が聞こえる。


「助けて!!」


 リディアさんが大声で叫ぶと、その声を聞きつけたようで騎士たちがなだれ込んできた。男たちは私を盾にする間も無く取り押さえられていった。


「大丈夫ですか? さぁ、こちらに」


 私とリディアさんは一人の騎士に、壁際で震えている女の人たちは別の騎士に寄り添われながら歩いて牢を出た。


 私たちは貴族令嬢という扱いの元、左手に移動し、他の人たちは右手に移動して何処かへ連れていかれるようだ。

 きっと騎士団の詰め所かどこかで保護して詳しい話を聞くのだと思う。


 私達は騎士に案内されて邸の使われていない部屋に入ると、騎士は私に向かって取り上げられた魔道具を投げてよこした。


「リディア、ロア、お疲れさん」


 騎士をよく見ると、マルコ副団長だった。


「マルコ副団長! お疲れ様です」

「ロア、初の誘拐おめでとう。頑張ったな」

「マルコ副団長、怖かったです。リディアさんがいなければ私、命令に違反して伯爵たちをぶっ飛ばしていたかもしれません」


「ふふっ。血気盛んね。最後まで相手に魔法を使わずに済んだのは良かったわ。それにしても来るのが遅かったじゃない」


 リディアさんが笑顔でマルコ副団長に詰め寄る。


「第三騎士団のやつらの動きが遅くてな。どうせ偽情報を掴まされているんじゃないか? ゆっくりしていても大丈夫だろうってさ。これには団長も腹を立てていたがな。まあ、いつもの事だ。俺たちの活躍をあいつらは何にも分かっていないからな」


 私は魔道具を装着しながらマルコ副団長とリディアさんのやりとりを眺めていた。どうやら零師団は危ない橋を渡ろうと、活躍しようと表に出る事はないらしい。


 捕まえた功績は全て騎士団のものになるのだとか。

 そう聞くとなんだかモヤモヤするわね。


 けれど、それを分かった上で給料が出ているのだから仕方がない。零師団は他の騎士団員と比べて破格の給料だしね。


 私たちはマルコ副団長と一緒に零師団の部屋に戻ってから報告書を作成し、団長に提出する。


 なんとも濃い一日だった。


 きっと帰りが遅いとアンナたちが心配しているから家に『突然の仕事で王宮に泊まることになった』と連絡しておいた。

 報告書を提出したのも遅い時間だったので騎士団食堂で夜食を摂ってから零騎士団用の仮眠室へと入った。


 仮眠室は本当に寝るだけといった感じでベッドが置いてあるだけの部屋なのよね。それにとても狭い部屋なの。


 だが空間結界なのか錯視魔法なのかは分からないが、王宮の客室ほどの広さがあるように見える。

 圧迫感のない感じだし、ふかふかの布団でとても寝やすかった。


 あ、もちろん部屋にシャワーは付いていないので清浄魔法で体の汚れを落として寝たわよ? リディアさんは『自分の家で寝たいわ』と転移魔法でさっくりと家に帰っていった。


 流石イェレ先輩の姉。


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― 新着の感想 ―
ベールマー伯爵の骨十数本位は粉砕しても良かったんじゃない。「粉砕のロア」とかかっこいい。もしくは「潰しのロア」
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