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「王宮からの手紙……?」

「お嬢様、舞踏会やお茶会はまだ催される期間ではないですよね」

「そうよね。護衛で何処かへ出掛けるのかしら?」


 私もファルスもその手紙に書いてある呼び出しに首を傾げていたわ。学院に行ってシェルマン殿下に聞こうにも殿下は登校していないから聞けないのよね。


 仕方がない、時季外れだけれど王宮に登城するしかないよね。私は父に城に呼ばれたと話をした翌日、お城へと向かうことにした。


 いつも王宮からの手紙では護衛の話しかしないし。出掛けに父には令嬢としてドレスで行きなさいと言わてしまったわ。

 アンナも当たり前ですと言わんばかりに頷いていた。ドレスは既に用意されていてすぐに着替え、王宮に向かうことにした。


「行ってきます」

「お嬢様、行ってらっしゃいませ」


 オットーの見送りで馬車に乗り込んだ。私はドレスを着ていくはめになったため不貞腐れていたけれど、ファルスは仕方がないよなと私の不満顔を見て苦笑している。


 王宮に着いてからは従者に案内されて歩き出す。


 本日は謁見室のようだ。いつもと違う内容なのかもしれない。


 私と従者モードのファルスはいつになく緊張した面持ちで謁見室へと歩みを進めた。


「マーロア・エフセエ侯爵令嬢、登城致しました」


 王宮の従者の声と共に扉が開かれ、陛下の前へと歩き、礼を執る。すると、私以外の者は下がるように指示があり、ファルスは部屋の外で待機する事になった。


「王国の太陽であらせられる陛下の命により登城いたしました」

「マーロア嬢久しぶりだな。それに従者のファルスの活躍も耳にしておるぞ。優秀な者たちに儂も鼻が高い」

「有難き幸せに存じます」


「堅苦しいのはよい。今日、マーロア嬢を呼んだのは卒業後の進路についてだ。マーロア嬢は卒業したらレヴァインと冒険の旅に出ると聞いているが、シェルマンやアイロンの側近や護衛に就く気はないか?」


「申し訳ありません。やはり表立って魔力が無い者を側に置くと他の貴族たちから反発を受けます。

 それに文官科を出ているわけではありませんし、他の優秀な文官方も沢山いることを考えると無理やりねじ込んだと我が家が批判を受けてしまいます。殿下の側に一令嬢を常に側に置くことは色々と勘ぐられてしまいますでしょう」


 私は辞退する理由を伝えると、陛下はククッと笑い始めた。


「普通の令嬢なら王子の側近に、と言われたら喜び勇んでくるのだがな。まぁいい、それもマーロア嬢の良いところだろう。本題に入ろう。レヴァインは冒険者として活動しながら国中の優秀な者を見つける事をしているのは知っているな?」


 陛下の言葉に私は頷く。


「レヴァインは国王直属の部署に在籍しておってな、スカウトを担当しているうちの一人だ。通常なら二人一組で活動しているのだが、レヴァインは優秀でずっと一人で活動をしているのだ。マーロア、レヴァインと共に冒険者となりたいのであれば国王直属に加わり、レヴァインの補佐をするのはどうだ?」

「……レヴァイン先生が良いと仰って下さるなら」


 私は国王直属という言葉に少し迷ったけれど、レヴァイン先生の下で働くなら良いのかなと考えた。


「レヴァインなら大丈夫だ。レヴァインの上司は儂だからな」

「謹んで拝命いたします」

「そうかそうか。であれば、すぐにでも部署の者と会わせる事にしよう。連絡は追ってする事になる」

「承知いたしました」


 陛下は笑顔で頷いた後、手を叩き従者たちに部屋に入るように指示を出す。


 従者の出入りと同時に背後で人の動く気配がしたわ。従者たちはその気配を気にする様子はなく部屋に入り、お茶を淹れてくれた。


 私は恐縮しながらお茶を飲んだ後、邸へと戻った。


「マーロア、どんな話だったんだ?」


 部屋でファルスが心配して聞いてきた。


「学院を卒業した後の私の就職はどうするのか聞かれたわ。殿下の側近にどうかって。でもそれは断ったの」


「そうなんだ。だけどそんな話じゃないだろう?」

「そうね。詳しくはお父様の許可が下りたら話すわ。今はどこまで話していいかわからないもの」

「そうか。心配だな。俺がいないとマーロアは無茶しそうだからな」

「ふふっ。分かっているじゃない。でも大丈夫。私だっていつまでも子供ではないからね」

「そうだな。おっと、お嬢様。伝言が届きました。侯爵様がお呼びだそうです」

「すぐに向かうわ」


 ファルスは父からの伝言魔法に返事をした後、私の後を従者モードで付いていく。

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