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「イェレ先輩。魔法円を取り除く事が出来たら後は大丈夫なのですか?」
「多分大丈夫だ。王宮魔術師たちが破壊したのだから対処も自分たちでできるよ。ただ明後日の舞踏会は警備を更に強化する必要があるだろうけどね。マーロアは初めての舞踏会だったっけ? 気にせず楽しめばいいと思うよ」
イェレ先輩は心配ないと笑顔で言っているが、私はかえって心配になってしまう。先輩たちが頑張って警備をしていても中で殿下を守る人数は限られている。
「大丈夫だ。俺も一緒に付いている」
「アルノルド先輩、そうですよね! 明後日は宜しくお願いします」
「あぁ」
「んじゃ、今日はそろそろ解散かな。俺は今からちょっと王宮に行かないといけないし。アルノルドもマーロアも魔力を使ったんだから今日、明日はしっかりと休むように。じゃあ行ってくる」
イェレ先輩はそう言ってアルノルド先輩の研究室を後にした。
私とファルスはアルノルド先輩の指示を聞きながら空になった魔石に魔力を込め直し、魔石箱にまた直していく。
魔石の中の魔力は補充すれば使えるけれど、回数に限界があるようで使っていくうちに劣化していき、最後はパキンと崩れて砂になる。
あと、人ではないので魔力を込める時に歪さがあっても痛がる事はないので私たちは気にせず魔力を入れていった。
「さぁ、マーロアもファルスもそろそろ寮に帰る時間だ。明日はゆっくり休むといい。では明後日」
「「アルノルド先輩、おやすみなさい」」
すっかり日も暮れてしまったわ。今日は色々とあった。風が吹くと少し肌寒く感じてしまう季節。
「冷っとしてきたね」
「風邪ひかないようにしないとな。寮に着くまで俺の上着着ておけばいい」
「……ありがとう」
ファルスの上着を羽織り、明日の訓練時間を話してから寮に戻る。
私はベッドに入ると忘れていた疲れがどっと出てきてそのまま泥のように眠りについた。